超小型の光造形3Dプリンター「LumiPocket」が379ドルの低価格で登場

3万円台からの光造形3Dプリンターが登場

光造形3Dプリンターの低価格が止まらない。2カ月前の8月に1台5万円の光造形3DプリンターLittleRP (旧名LittleDLPer)が一躍有名となったが、今度はさらにそれを上回る3万円台の光造形3Dプリンターが登場した。

LittleRPは、キックスターターにおいて、たった2日間で4倍もの資金調達に成功するほどの人気であったが、その理由は超低価格であることと、光造形の高性能な造形が期待されたためだ。

しかし、今度登場したLumiPocketは価格が何と3万円台から購入できる光造形タイプ。しかもこのLumiPocketは従来のデスクトップタイプの3Dプリンターの中に置いても超小型サイズに位置するタイプ。同社の発表によるとこのLumiPocketは「最小のポータブル高品質の3Dプリンター」と発表している。

現在クラウドファンディングのIndiegogoで量産のための資金調達を開始している。光造形の滑らかで高品質な仕上がりを保ちながら、3万円程度の価格帯で購入できるとなれば、一気に拡大する可能性がある。本日は小型の光造形3DプリンターLumiPocketをご紹介。

 軽量コンパクトで50ミクロンの高解像度

LumiPocketはクラウドファンディングIndiegogoで資金調達と販売を開始したが、最安値は1キット379ドルからとなっている。気になるのはその製法と精度だが、LumiPocketは液状の感光性樹脂にDLPプロジェクターで紫外線を当てることで積層する光造形方式を採用している。下記はその造形モデルで50ミクロンの解像度を持っている。ちなみに、光造形は液体の熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂アクリル樹脂ポリウレタンなどをベースにした紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し硬化させる方法。

LumiPocket動画

LumiPocketの50ミクロンで作られたサンプル

100ミクロンのサンプル

スペースをとらない超小型3Dプリンター

LumiPocketスペック

  • 解像度:50ミクロン、100ミクロン(プロジェクターに応じて)
  • Z分解能:50ミクロン/100ミクロン
  • 造形サイズ:直径100mm×高さ100mm
  • 推奨レイヤー回数:3000ms-8000ms
  • SpotGPとFunToDo樹脂でテスト
  • 専用樹脂容器を3つ付属、異なる色や素材を3つまで利用可能

正直、軽量コンパクトでこれほどの精度が出せる3Dプリンターはこれまでなかったと言ってもいい。解像度は上記のサンプルのように50ミクロンと100ミクロンの2パターンで作ることができるが、その完成度と滑らかさは光造形ならではの仕上がりだ。

しかし、このLumiPocketには上記のような軽量コンパクトという特長以外に、もう一つ他社の3Dプリンターにはない特長を持っている。それは液体樹脂を入れて造形するタンクが3つ付属しており、3種類の異なるオブジェクトを作ることができる。通常光造形タイプの3Dプリンターは液状樹脂を入れる部分は1カ所だが、LumiPocketは3個装着可能だ。

3個の液状樹脂タンクを装着可能

lumipocket-5

DLPタイプの光造形3Dプリンターの特長は市販のプロジェクターを取り付けることができることがあげられる。一躍5万円台で注目を集めたLittleRPも同様のDLP方式を採用しているが、プロジェクターは市販のものをユーザー自身が購入し組み立てるタイプであった。

このLumiPocketも同様で、Indiegogoで提供される最安値のモデルにはプロジェクターがついていない。 最初の支援者20名には379ドルで提供されるが、そこにはプロジェクターと送料だけは含まれていない。

また、最初の20名以降は、自分で組み立てるタイプで379ドルの価格になる。そのため資金調達が完了し、公式販売になった場合には、3万円台を超える可能性は高いかもしれない。また、どちらにせよプロジェクターはユーザー自身が購入することになるため、中古でも1万円程度の価格はする。

LumiPocket組立と造形動画

まとめ

組み立て式で、プロジェクターがついていないとはいえ、1台379ドルという価格帯は破壊的な価格だ。仮に中古でプロジェクターを購入したとしても、5万円は切る価格で高性能な光造形3Dプリンターを入手することができる。

続々と登場する低価格な光造形3Dプリンターだが、この開発競争と低価格化はますます激化することが予測される。ここまで乱立してくると、低価格というキーワードや、高性能というキーワードだけでは何の差別性も打ち出せなくなる。もはや高性能と低価格は当たり前になりそこからプラスアルファの特長を打ち出すことが必要だ。

光造形の原理と仕組み、種類についてはこちらをどうぞ

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