ローカル・モーターズが電気自動車のシャーシを公開、進む3Dプリンターの完全製造

着々と進む3Dプリント自動車の製造

ローカル・モーターズが3Dプリント電気自動車の製造経過を発表している。

この3Dプリント電気自動車は、9月8日からシカゴで開催予定の国際車両技術展に出展される予定のものだ。

今回発表されたのは自動車のフレーム部となるシャーシ。このシャーシは提携関係にあるアメリカ最先端技術の研究所であるオークリッジ研究所で製造したもの。

素材は車体を軽量化するために炭素繊維が注入されたABSで作られている。今回発表されたシャーシは構造テストや耐久テストも完了しているとのことで、実際に展示品に使用されるもののようだ。

ちなみにこのシャーシは4つのパーツから構成されており、組み立てることで一つのフレームになる仕組み。オークリッジ研究所は超高速3Dプリンターの開発を行うアメリカの国立研究機関だが、このシャーシの3Dプリントは巨大パーツを高速で可能にするものになる。

3Dプリントされたシャーシ

3Dプリントされたシャーシ

4つのパーツから構成し組み立てる

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3Dプリンターによるパーツ組立

ローカル・モーターズは5月いっぱいまでこの3Dプリント電気自動車のデザインを募集していた。

既に206のエントリーが集まっており、現在選考中の状況。優勝者には5,000ドルの賞金が授与されることになる。この3Dプリント電気自動車は各パーツを3Dプリンターでプリント製造し、組み立てるという製造方法をとっている。

一言でいうと巨大なプラモデルを作るようなものだ。外側のデザインはクラウド上でローカル・モーターズに集まるデザイナーたちから募集しているようだが、内側のフレームや内部構造は着々と製造している状況がみえる。

基本的に車両全体の構造もMakerbotのデスクトップタイプの3Dプリンターで、ミニチュアタイプをプリントし設計確認を行っている状況だ。

3Dプリンターでプリントされた各パーツのミニチュア版

ミニチュアパーツ

130ヵ国からコミュニティに参加するローカル・モーターズ

ローカル・モーターズが挑戦する3Dプリント電気自動車は単なるデモンストレーションではない。

この製造を皮切りに、将来的にはクラウドと3Dプリンターを使った本格的な自動車製造を始めようという壮大な目標が見て取れる。

今やローカル・モーターズには130ヵ国からコミュニティに参加しており、多くのデザイナーやエンジニア、機械加工業の人々が集まっている。

彼らはこれを「マイクロファクトリ」と呼び、次なる自動車製造の拠点にしようという動きをとっている。既にサイト上でショップ機能を設けており、自動車やバイク、子供向け玩具の自動車などの受注生産を開始している状況だ。

今回の完全な3Dプリンターによるパーツ製造が可能になれば、世界中どこでも3Dプリンターを通じてオンデマンドに製造が可能になる。

既に自動車も販売開始している

まとめ –クラウドと3Dプリンターによる製造体制が普及する可能性‐

ローカル・モーターズが計画する3Dプリンターによる完全生産体制は、まだ始まったばかりだ。

今回の完全3Dプリント生産による電気自動車が成功した後も、本格的な生産体制に入るまでは少し時間がかかるかもしれない。これまでのメーカーが一元管理する生産体制とは異なり、安全性試験や規格等の準拠と言った課題をクリアする必要性も出てくるためだ。単純にデータがあればどこでも作れるというような単純な話にはならない。

しかし、その一方で、こうしたクラウドを利用した不特定多数のアイデアや意見を商品開発に活かし、3Dプリンターによって世界中どこでも輸送することなく製造しようという動きは今後も加速していくだろう。

製造面での管理運営、安全性や機能性の担保が取れれば、コスト面からも商品開発のスピードからも圧倒的に優れているからだ。まだその計画は始まったばかりだが、将来は気づくと当たり前の製造方法になっているかもしれない。

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