ローカルモーターズの3Dプリント自動車が受注開始予定

3Dプリント自動車の正式受注が来月開始

3Dプリント自動車の開発を進めるローカルモーターズが、来月10月から3Dプリント自動車の事前受注を開始することを発表した。昨年カナダで開催を行った国際製造技術ショーで3Dプリント自動車を製造したことは余りにも有名だが、現在高速道路や一般道でも使用できる車を作る開発が進められている。

このローカルモーターズの3Dプリント自動車はオンライン上でユーザーがカスタマイズすることができ、巨大なFDM3Dプリンターと多機能加工が一体となった高速製造マシーンで作られる。ローカルモーターズは世界各地にマイクロファクトリと呼ばれるミニ工場を配備し、世界中どこからでもオンラインにアクセスし、自動車を製造しようという計画を実行しようとしている。

そのような中、来月10月から、本格的な3Dプリント自動車の第一弾となるモデルの事前受注を開始するようだ。今年の7月にメインとなるいくつかのデザインが決定され、低速電気自動車LSEVモデルが18,000ドル(220万円)、高速道路対応モデルが30,000ドル(366万円)の予定で開発が進められ試作バージョンの稼働運転が公開されている。

実用化の記事はこちらをどうぞ

稼働運転動画

アリゾナ州立大学とのハイテク材料開発

ローカルモーターズが開発する3Dプリント自動車は、アメリカ連邦政府の、連邦自動車安全基準に合格した仕様で開発が進められているが、この基準に合格するために、ハイテク3Dプリント材料を開発している。このハイテク材料の開発ではアリゾナ州立大学の工科技術プログラムの教員、職員と共同で開発を行っている。

この材料開発プロジェクトでは、高速道路や一般道での使用ができ、自動車としての安全性を担保する素材を開発される。また、このアリゾナ州立大学との共同プログラムは、材料開発だけに留まるものではない。

3Dプリント自動車の性能を向上させるためのあらゆる共同開発が行われる。例えば3Dプリント自動車部品の積層郷土をたかめるためのテストシステムの開発や、設計・製造のシミュレートの開発など、いわば、高度な専門知識と技術を習得する研究者、学生たちとの共創プラットフォームだといえよう。

既にローカルモーターズはGEとストラタシスとの共同プロジェクト家電製品のFirstbuildを立ち上げているが、このアリゾナ州立大学との共創プロジェクトは、より専門性の高い人材のみによる共創プロジェクトだということができる。また同時に、このプロジェクトに参加する学生立ちにとっては格好の実践技術を身に付ける場所になる。

アリゾナ州立大学に提供されたローカルモーターズの試作

毎時45キログラムをプリントできるBAAM3Dプリンター

ローカルモーターズは自動車生産のために、ダイレクトデジタルマニュファクチャリング(DDM)を利用した最初の企業だということができよう。その取り組みはまさに自動車そのものを3Dプリンターで製造してしまうという画期的な取り組みだ。このデジタルデータからの直接製造を可能にしているのが、アメリカの国立研究機関、オークリッジ国立研究所と開発する巨大3Dプリンターだ。

このBAAMといわれるマシーンは最大で20×12×6フィート(6メートル×3.6メートル×1.8メートル)の物体を毎時45キログラム(100ポンド)の大きさで生成することが可能。1年前には44時間の3Dプリント時間がかかったが現在ではさらにスピーディにプリントすることが可能になる。オークリッジ国立研究所はローカルモーターズとは別に、AMIEと呼ばれる家と車両が統合されたエネルギー効率の高い3Dプリント車両を開発している。

このAMIEプロジェクトでは、太陽電池式の構造に天然ガスのパワーで動くハイブリッド電気自動車を家に接続し、両方の間で共有完全に統合されたエネルギーシステムを作成する。このBAAM巨大3Dプリンターでは、ハイブリッド電気自動車の車体そのものを3Dプリントするだけではなく、無線で充電することができるワイヤレス充電ドックも製造している。ちなみにソーラーパネルが搭載される家はクレイトンホームズが組み立てる。

ワイヤレスバッテリのプリント
ハウスと電力を共有するハイブリッド車の製造

まとめ 3Dプリンターの進化を示す

自動車のダイレクト製造はローカルモーターズを始め、オークリッジ国立研究所、さらにはシンガポールの南洋工科大学などでも開始されている。しかし、これまでの取り組みは全て研究開発段階のもので、実際に販売されユーザーに使用されるにはいたっていない。だが、ローカルモーターズの販売が来月正式にスタートし、実用が開始されればデジタルデータからダイレクトに製造するといったダイレクトデジタルマニュファクチャリング(DDM)の更なる進展につながるだろう。3Dプリンターは、これまでプロトタイプの製造に使用するマシーンとして捉えられていたが、さまざまな発展を遂げ、データからの直接製造のツールとして進化しようとしている。

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。