ローカルモーターズとオートデスクは3Dプリント自動車の製造をさらに高速化

By | 2014年9月16日
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3Dプリント製造の可能性と課題

ローカルモーターズの3Dプリント電気自動車の6日間プロジェクトは大成功に終わり、3Dプリンターの新たな役割を世界中に見せつけた。

この3Dプリント電気自動車Stratiの3Dプリントに要した時間はたった44時間で、残りの2日間は自動車を構成する40個のパーツの組み立てと、最終調整に費やされている。このことは、3Dプリンターがもはや試作品を作るためのモノではなく、最終品を作るための生産機器に変化してきていることを示しているが、それだけではない。

金属加工なくしては作ることは不可能と言われた自動車製造を、炭素繊維とAB S樹脂の3Dプリントで作り上げたこの事実は、これまで当たり前で合った製造方法を根本から変革してしまう力があるといっていいだろう。

いうなれば3Dプリンターはこれまで素材によって限定されていた製法を解放し、全く異なる素材でモノを作ることができるということだ。もちろん、その仕上がりや完成度はまだ粗削りで、射出成形などの従来の製法の美しさには及ぶべくもないが、こうした粗削りな部分は徐々に改善されていくと思われる。

また、単純な比較はできないが、44時間という短時間で製造したとはいえ、射出成形の生産スピードと比べればはるかに遅いと言えよう(射出成形で自動車のボディは作った事例がないため単純比較はできないが)。

しかし、こうした3Dプリンターが持つ欠点を、実際に製造したローカルモーターズ自身が一番理解しているのではないだろうか。そうしたことも踏まえてか、この電気自動車6日間プロジェクトの直後に、CADソフトウェアの最大手オートデスクとある共同発表を行った。

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ローカルモーターズの3D電気自動車6日間製造の記事はこちらをどうぞ

オートデスクの専用OSスパークで超高速化

ローカルモーターズが発表したのは、自社の電気自動車の製造にオートデスクがリリースしている3Dプリンターのオペレーションソフト「スパーク」を導入することだ。

スパークオートデスクが開発する3Dプリンターの汎用OSで、今後開発されるであろう3Dプリンターに利用できるもの。詳しいスパークの内容は公開されておらず、半年後のオートデスクの公開を待たねばならないが、ローカルモーターズはスパークの導入により、3Dプリンターの製造を今まで以上により簡素化し、より高速化するものだと発表している。

今回ローカルモーターズが使用した3Dプリンターはアメリカの先端技術の専門機関オークリッジ研究所とシンシナティ社が開発する超高速3Dプリンター。

現状のスピードでも、これまでの一般的なFDMタイプの3Dプリンターの200倍のスピードで生産可能だが、それが更に早くなるという。ローカルモーターズとオートデスクの発表では以前よりもはるかに早くデジタルから物体にすることが可能としている。

 アイデアやデザインを簡単に3Dプリント用にキャプチャー

スパークの果たす役割は上記で述べたような高速化だけではない。アイデアやデザインを簡単に3Dプリント用にキャプチャーしてくれる機能も有しているという。それも3Dプリンターに最適なデータに正確に変換し、デジタルと物体の差を極力なくす機能になる。

ちなみにスパークはあくまでもOSなので、3Dプリンター自体の機器を変更するわけではない。今回使用された巨大高速3DプリンターはBAAM(ビッグエリアアディティブマニュファクチャリング)はそのまま使用できる。BAAMは3Dプリンターにフットベッドレーザーカッターを搭載した複合機だが、このスパークが組み込まれることでより高速により正確に3Dプリントできるようになる。

オークリッジ研究所とシンシナティ株式会社が作った巨大高速3DプリンターBAAM

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BAAMの記事はこちらもどうぞ

まとめ 3Dプリントを金型並みの生産性に

ローカルモーターズが使用する巨大高速3DプリンターBAAMのスピードはこれまでの3Dプリンターと比べてもすさまじい造形スピードだ。しかもレーザーカッターまで搭載している完全最終パーツ製造の機械だ。

しかし、従来の金型を使った製造スピードと比べればまだまだ遅い。これは製造するための原理が異なるため当たり前の話だ。BAAMのようなFDMタイプの3Dプリンターは細い形状の樹脂を溶かして自由に積み上げる方法。一方、金型を使った射出成形は、溶かした樹脂を金型に流し込み冷却して量産する方法。

樹脂を溶かすという作用は同じでも、型にはめて作るか、細くして自由に積み上げるかの違いだ。当然積み上げていく方がその作業動作時間が長いため時間がかかるのは当たり前。しかし、アメリカの企業の取組を見ていると、3Dプリンターを従来の金型による製法と同等のスピード、同等の精度まで高めようとしているのではないかと考えてしまう。

今回のローカルモーターズとオートデスクの発表しかり、Googleと3Dsystemsの高速量産3Dプリンターの取組しかりだ。このように見てみるとアメリカは3Dプリンターに全く別の可能性を見出していることがわかる。

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4 thoughts on “ローカルモーターズとオートデスクは3Dプリント自動車の製造をさらに高速化

  1. 野崎 精一

    従来型の金型による成型と経済性を比較する事は意味がないですね。現在の産業は同じものを大量に安く作る事を目的にしているからです。今は商品の生産過剰です。新しく出現した3D-Printerによる生産は、一品生産、カスタマイズ可能な事が一番の肝です! 大昔の日本は、村々に鍛冶屋が在って、農家の注文時応じて一品生産をしていたわけです。そのシステムが技術の進歩によって、現代に蘇った訳ですね。

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