iPhoneアプリでカスタムインソールを3Dプリント。SOLSがサービスを開始

アプリケーションと3Dプリンターで広がるデジタル製造

3Dプリンターの最大の特長の一つでもあるデジタルデータからのダイレクト製造。ダイレクトデジタルマニュファクチャリング(略してDDM)と言われる機能の本当のメリットは、エンドユーザーの圧倒的な顧客満足度をたかめることにある。一人一人にパーソナライズされた製品は、その人専用のオンリーワンの存在として提供されることになる。

既にDDMによる実例は、パーツ類といった産業用の枠をこえ、コンシューマプロダクトの分野に少しづつ登場しつつある。以前もご紹介したカスタムイヤホンのNormalなどがその最たる事例の一つだ。Normalは一人一人の耳の形にあった最適な形状のイヤホンをストラタシスの高性能なFDM3Dプリンターで製造し、全く外れることなく快適に音楽が聴けるといった付加価値をユーザーに届けている。

こうした顧客の満足度という観点から言うと、本日ご紹介するSOLSのサービスも、同質の取り組みだといえる。SOLSはたびたびご紹介してきたが、インソールの3Dプリントカスタム製造を行う新たなメーカーだ。専用のスマートフォンアプリケーションを通して、一人一人の脚の形に最適なインソールを提供する。SOLSは昨年2014年以降、巨額の資金調達を行ってきたが、ようやくサービスの核となるiPhone専用アプリが登場し、全米でサービスを開始するという。アプリケーションで取得したデジタルデータからのダイレクト製造が本格的に行われる格好の事例だといえるだろう。

iPhoneで写真を撮るだけ。高性能ナイロンの完全カスタムインソール

SOLSが提供するサービスは、個人個人の足に完璧にフィットする3Dプリントカスタムインソールの製造だ。ユーザーはiPhone専用のアプリケーションを使用し、病院に行かなくても10日ほどで自分の身体つき、足のサイズに最適化されたインソールを手にすることが可能。

手順は極めてシンプルであり、まずはiOSアプリをダウンロードした後、顧客は、重量と非体重負荷のスタンスにそれぞれの足の写真をスナップ写真を撮るだけ。後はSOLSの専用ソフトウェアが1000以上のデータポイントを生成し完全に使用者の足と個々のニーズを反映するインソールの3Dモデルを作成する。

作成された3Dモデルは、ナイロン11や、NASAグレードのハイエンドなプラスチック素材で3Dプリントされる。ちなみにナイロンは、靭性と耐久性に優れる合成繊維。なかでもナイロン11は従来の耐久性や耐衝撃性に優れた特性に加え、耐寒衝撃性にも優れる素材だ。いわば靴はどのような状況でも使用されるが、SOLSが製造するインソールはこうした環境も踏まえてのもの。

ちなみにSOLSが提供する医療用インソールSOLS Rxは、アメリカ全国650以上の足病医ですでに利用可能であり、この足病医を通じてこのWebプラットフォームも利用できる。また、この3Dプリントインソールは43,000のリハビリ療法の専門家が利用できるようになっている。

iPhoneアプリで写真を撮るだけ
ソフトウェアが自動で3Dモデルを生成

真の3Dプリントカスタマイズはユーザーの課題を解決する

最適化されたインソールによって完全な自分に合った靴を履くということは、実は足病だけに効くだけではない。腰痛や肩こり、頭痛といったさまざまな身体の不調、更にはメンタル面における健康まで、じつは足病が原因となっていると言われるほどだ。そのため、カスタムフィットするインソールの装着は、単なる足の痛みだけではなく、全体的な姿勢を改善し、快適な日常を送るための根本にもなるわけだ。

また人間は左右の足でもサイズや形状が全く異なることから、完全に左右の足にフィットさせるためにはデシタルデータから完全にカスタムフィットさせることができる3Dプリントが最も真価を発揮する。まさにSOLSは、最新のアプリケーションと3Dプリントによる製造技術で、これまで不可能であったユーザーニーズを満たし人々の生活に快適な日常をもたらすことに成功している。これこそ3Dプリンターの真価を発揮する使い方であり、マスカスタマイゼーションの格好の事例だといえる。

ユーザーのさまざまな課題を解決する

まとめ 3Dプリンターの本当の価値を発揮する使い方とは

3Dプリント技術の進化によって、SOLSのように、これまで不可能であったユーザーニーズを満たし、より多くの人の不満や課題を解決するものづくりが可能になる。そこには根本的な理念として、顧客のことを最優先で考えたユーザー目線のものづくりが見て取れる。ここで最も忘れてはならない点は、重要なのは、カスタマイズすることが、全てのユーザーの持つ潜在的な課題を解決することに直結するということなのだ。

そのため単なる外観のみのカスタマイズや、ちょっとした形状を模するといった行為は、必ずしも全てのユーザーの望みを満たすものではない。更により厳しい言い方をすれば表層的なカスタマイズはものづくりの本質とはなんの関係性もない。なぜならば、そこには作り手側の思いのみしか存在せず、ユーザーのことを考えない一方的な行為があるだけだからだ。

3Dプリンターが普及することで、さまざまなモノがカスタマイズを謳い始めているが、全てのユーザーの課題を解決するものではない、表層的なカスタマイズは、ものづくりというよりは趣味もしくは、感性が合う一部の人にしか受け入れられないアートに近いものだろう。SOLSの取り組みは、本当の3Dプリンターの価値、更にはカスタマイズの使い方を教えてくれる。そんな格好の事例だ。

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