複数ヘッドの世界初のハイブリッド工作機械、金属3Dプリントの融合

金属3Dプリントと切削複合機との融合

金属の加工方法はさまざまな方法があるが、機械加工の分野ではフライス加工とマシニング加工が最も多用する加工方法だ。フライス加工は、金属の面を加工する技術で、切削する工具をさまざまなものに付け替えることでいろいろな削り方ができる。平面削りや、溝削り、穴あけ、側面削りなど、多様な加工が可能だ。

一方マシニング加工は、工作機械の動きを数値で制御することができ、工具の位置や加工する経路、軸の回転などさまざまな設定を行うことができる。このようにコンピューターで細かい制御をすることができることから、CNC加工と言われており、高精度で多種多様な加工が1つのマシーンで可能になる。

いわば日本の中小製造業のお家芸ともいえる多品種少量生産を実現する代表的な工作機だといえよう。こうした従来からある金属加工に加え、一躍注目が集まっているのがレーザー焼結による金属3Dプリンターだ。金属粉末をレーザーで焼き固め物体を造形する技術でCADなどの3Dデータからダイレクトにパーツなどを作ることができる。

実は今こうした従来からある機械加工とレーザー焼結による3Dプリント技術を融合させる機械の開発が進んでいる。以前も、マシニングセンタと金属3Dプリント技術を融合させたハイブリッドマシーンをご紹介したが、あらたに、複数のヘッドをもつ切削複合機に金属3Dプリント技術を融合させた機械が注目を集めている。今回初となる3Dプリント技術アワードを受賞した。

金属3Dプリントで大面積で表面コーティングが可能

この複合切削ヘッドと金属3Dプリント技術を融合させたマシーンを作ったのは日本のグローバルな工作機械メーカーヤマザキマザック株式会社。昨年10月に開催されたJITOF2014で出展しハイブリッド複合工作機として一躍注目をされている。

そして、今回初開催となる、国際アディティブ・マニュファクチャリングアワード(IAMA)を受賞したのは、このヤマザキマザックが開発したハイブリッドマシーンINTEGREX I-400AMに取り付けられるアンビット™レーザクラッディングヘッドというヘッド部分だ。

このヘッドは、ヘッドの先から微細な金属粉末を蒸着させることで表面仕上げをさせることができる。この技術によって大面積の表面コーティングが可能になり、圧倒的なリードタイムの短縮で完成度の高い仕上がりが可能になる。また画期的なのが、異なる金属を接合することが可能で、ステンレススチールの基板嬢に、ニッケルベースの超合金などを積層した堆積パーツの製造が可能。

ちなみに今回IAMAを受賞したのは、このヘッドのマシーンを開発したイギリスのハイブリッド製造テクノロジーズLLC

金属粉末でコーティング

タービンブレードの完全に自動化されたハイブリッド修理動画

まとめ 表面加工まで一貫して

動画ではタービンブレードの修理コーティングの動画だが、この複合ヘッドとハイブリッドマシーンはゼロからの新しい製作や、既存部品の機能追加など多くの使用方法が可能だとのこと。金属加工の大部分は、一般的に最終的にミリング仕上げ、サンドブラスト加工、研磨といった表面仕上げをするのが当たり前だが、このハイブリッド複合機を使用することで、データから最終品の仕上げまでシームレスに行うことが可能だ。

まさに画期的な次世代工作機械といってもいいだろう。今回のIAMA受賞によって、このヘッドを開発したハイブリッド製造テクノロジーズLLCは、2万ドルの賞金と、8万ドル相当のメディアパッケージを受け取ることになる。ちなみにIAMAの審査員は、ドイツ工作機械メーカー協会、各学会、軍事、メディア、貿易、医療、BMWなどで3Dプリント関連からは、ARBURG、チェコ工科大学、EOS、ローカル·モーターズなど数々のアメリカ・EUの企業が含まれている。

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