3Dプリンター配備に続々と投資するイギリス、大手印刷会社も参入

3Dプリンターの配備を拡大するイギリス

3Dプリンターを配備することによって、自国の製造業や物流・郵便事業を強化しようという動きが加速している。欧米諸国やシンガポール、中国など、世界の先進国が3Dプリント開発とプリンターの配備に力を入れているが、とりわけ積極的な動きをとる国がイギリスだ。

イギリスは、つい最近郵便サービスを手掛けるロイヤルメールがiMakrと提携することで3Dプリントサービスを開始しているが、ほかにもこの事業に参入する企業が増えている。本日ご紹介する企業「Hobs Reprographics」も新たに3Dプリントサービスを開始する企業。3Dプリントサービスの開始をするに当たり、イギリス政府から700万ポンドの補助金を受けている。

イギリスは政府が中心となって一大3Dプリントセンターを開設したり、全国の中学校、高校に3Dプリンターを配備するなど、この新たな技術を導入するために政府が莫大な予算を投資している。今回の「Hobs Reprographics」も3Dプリントサービスの全国展開を計画しているとのことだ。

建築、建設、エンジニアリング対象にプリントサービスが拡大

今回3Dプリントサービスに政府から投資を受ける「Hobs Reprographics」とはどのような企業なのだろうか。その創業はいまから45年前の1969年、もともとは建築家や建設会社、エンジニア専用の印刷サービスとして始まった会社だ。現在、イギリス全土に23の支社を持ち、公共事業から建築、建設、製造業などにわたり、ビジネス向けの印刷サービスを展開している。

今回の3Dプリントサービスの開始では、手ごろな価格で高品質な造形を可能にするもので、主にデザインの試作からプレゼンテーション、マーケティング目的と、企業がさまざまな用途で利用できるものになる。従来からの建築・建設分野やエンジニアとのネットワークを生かし、クオリティの高い、建物のモデルやエンジニアパーツ、プロダクトの3Dプリントパーツを提供する。また、単純な3Dプリンターによるプリントサービスだけではなく、同時に3Dデザインや試作・モデルメイキング、ヴァーチャルリアリティにおける製品開発サポートを提供する。

実は「Hobs Reprographics」は既に1年前から一部スタジオという形態で、この3Dプリントサービスを提供してきた経緯があり、今回の政府からの投資は、このサービスを本格的に全国展開するためのものだ。そろえている3Dプリンターも幅広く、フルカラーや、マルチジェットタイプの3Dプリンターや、液状のエポキシ樹脂アクリル樹脂ポリウレタンなどによる光造形モデルなど、高性能高精細な造形ができる機種を多数用意している。こうした1年間の幅広い設計・製造サポートが古くからの顧客のニーズに合致し、一気に業態を拡大できるチャンスとなっているようだ。

「Hobs Reprographics」の3Dプリントサービス動画

まとめ 産業を強化するための投資

今回新たに3Dプリントサービスを拡充した「Hobs Reprographics」は、既に45年以上も前から印刷分野で、建設や建築分野、エンジニアリング分野の各企業とネットワークを持っている。その顧客企業も大手企業よりは中小企業が対象となっているとのことだ。こうした3Dプリントサービスの展開が各中小企業に普及することで、建設・製造という二つの業界がより効率化され、製品開発のスピードが高まることにつながるに違いない。

既にイギリスでは前述のとおり、郵便事業や教育関連以外に、多くの製造業が利用できる一大3Dプリントセンターの建設も行っている。今年2014年度だけで3Dプリンターによる産業強化は我が国を超えるスピードで浸透しているのではないだろうか。イギリス政府の莫大な投資は、3Dプリンターが企業の競争力を強化し、ひいては国の産業強化につながると見越しての投資だとうかがえる。

3Dプリンターの導入を進めるイギリスの記事はこちら

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