グローバル化時代のeコマースの動向とは?パーソナライズ化とモビリティ

年率20%で拡大し続けるe-コマース市場

電子商取引すなわちeコマース市場は年々増加傾向にあり、2013年もほとんどの分野においてe-コマース市場が拡大している。日本においてもBtoB、BtoCそれぞれの分野においてeコマース市場は成長を続けている。

特にBtoCのeコマース市場はEC化率(商取引のうちインターネット取引がされている比率)が10%に満たないにも関わらず2012年度には8.5兆円の市場規模に上っている。また、世界的にみてもe-コマース市場の成長率は多角毎年約20%の成長率で拡大し続けている。特に中国をはじめとした東南アジア諸国の成長は著しい。

中国、マレーシア、ベトナム、フィリピンといった国々は経済成長率と相まってe-コマースが拡大しており、2016年度には世界市場で見た場合アジア地域の占める割合が1位になると予測されている。このように拡大を続けるe-コマース市場だが今後どのような動向で動いていくのだろうか?

※出展:経済産業省 e-コマース市場の推移

加速するパーソナライズ化

第一に今の時代のe-コマースの特徴はパーソナライズ化である。年齢、性別、住んでいる地域、家族構成、ソーシャルメディアのつながり、趣味嗜好、かこの購入履歴などあらゆるセグメンテーションが可能となっている。こうした個人のデータが集約されることによって、オンライン上のショップでは即座にその人に最も適した製品が提案される仕組みだ。

Amazonでオンラインショップを利用している人は既に気づいているかもしれないが、自分が購入した書籍と関連した書籍がAmazonから勧められてくる。もちろんAmazonの書籍だけではなく、旅行の予約サイトでも、金融サービスでも音楽でもなんでもパーソナライズに適したものやサービスが提供される。このようなパーソナライズ化は今に始まったわけではなくだいぶ前から行われてきていた。

もともとe-コマースを利用する際にはそのサイトに登録を行い会員になる必要がある。会員登録を行う際には当然、氏名、年齢、性別、住んでいる場所など、個人の情報を入力して登録を行い、購入履歴等も従来のe-コマースサイトにおいても残っていた。過去のe-コマースにおいては会員データの活用法はある程度のセグメントに分類してセグメントごとにメールマガジンの配信や適しているであろうと思われる製品の案内等を行っており、それがダイレクトマーケティングの限界であった。

しかし最近のビッグデータの活用法によってよりダイレクトによりその人に適した製品が提案できるという完全なパーソナライズ化がなされたのである。こうしたデータの活用方法は新しい製品を販売する際や新しいサービスを提供する際においても効果を発揮し、従来のダイレクトマーケティングに比べてはるかに速いリターンを提供者に産むことになった。

また、これはe-コマースの分野に限ったことではないが、メーカーやサービス提供会社にとって、新製品や新サービスを作ることに関してもパーソナライズ化のデータは非常に有効である。例えばある特定の商品を購入している顧客の大量のデータを分析すれば、一定の傾向がみえてくるかもしれない。

「男性で何歳代でこの商品を購入している人は、こんな傾向にあり、こうしたサービスが提供できるかもしれない」といったような。このパーソナライズ化は特定の国のe-コマースだけではなくもちろんグローバルに言える特徴である。

スマートフォンやタブレット端末でe-コマースがモビリティ化 

第二の特徴としてモビリティ化があげられる。これはスマートフォンやタブレット端末の普及が圧倒的に進むことによってe-コマースでの利用が圧倒的に増えている。スマートフォンやタブレット端末を持つことによって人はいついかなる場所においてもオンライン上のストアにアクセスすることが可能になり、より簡単に製品やサービスを購入することが可能になった。

ちなみに日本において、2011年度以降、スマートフォンとタブレット端末からe-コマースを利用して取引が行われた割合はパソコンを使う取引よりも多くなっている。この傾向はスマートフォン・タブレット端末の普及が今後も進んでいくことからますます拡大していくとみられ、e-コマース市場が拡大する要因ともなっている。

※出典:総務省 端末別e-コマース利用率

まとめ

2013年度はビッグデータとスマートフォン、タブレット端末の普及によってe-コマース市場はまさに「パーソナライズ化」と「モビリティ化」が進展した時代となった。個人により適した情報が提供され、個人が自在にスマートフォンを使用しオンライン上にアクセスし、自分の必要なものを非常に素早く手に入れられる時代となっている。この傾向は年々拡大し、先進国だけではなく成長著しいアジア諸国においてもe-コマースサイトができれば当然のように普及すると考えられる。

これからの時代は全ての企業においてこうした状況に適合することが絶対条件となってくる。こうした状況はある意味これから事業を展開する企業にとっては非常に恵まれていると思われる。もちろんe-コマースへの各企業の参入が加速すればオンライン上でも競争が激化することは当然である。しかし、消費者が自分が望んだ情報をどんな場所にいようとも必ず得られる状況にあるように、企業は自社努力により自社の製品とサービスを望んでいる顧客に対してダイレクトに提案することが可能になり、直接顧客との関係を築くことができる。

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