世界初!3Dスキャナー内蔵3DプリンターGENESIS

シンガポール南洋理工大学初のベンチャーが開発

シンガポールの3Dプリント開発の動きが盛んだ。2013年以降、政府や大学・研究機関を中心に独自の3Dプリンター開発や、さまざまな産業利用を研究している。そんなシンガポールの3Dプリンター開発の中心的存在が南洋理工大学だ。南洋理工大学はシンガポールにおける最大の理工系大学であり、世界でもトップクラスの国立大学の一つ。

政府は過去に3000万ドルの資金を投じて南洋理工大学内に3Dプリンター開発センターを開設したが、その実が花を咲きつつある。今回ご紹介するデスクトップタイプの3DプリンターBLACKSMITHもそのうちの一つ。世界初となる3Dスキャナー内蔵の3Dプリンターだ。
クラウドファンディングのIndiegogoでおよそ8万ドルの資金調達に成功した。これ1台あれば、製品をその場でスキャニングし模造の試作品をそのまま3Dプリントできるというわけだ。本日はシンガポールの南洋理工大学初のベンチャー企業BLACKSMITHの3Dプリンターをご紹介。

世界初となるシンガポールベンチャーが開発した3Dスキャナー搭載3Dプリンター GENESIS

3Dプリンターと3Dスキャンが同時にできる

BLACKSMITHの3DプリンターGENESISは、世界初となるデスクトップタイプの3Dスキャナー搭載3Dプリンターだ。最大の特長は同じプラットフォーム、すなわちプリント台と同じ場所で製品をスキャニング、3Dプリントすることができるという点にある。これによりスキャンとプリントを別々に行う移動時間を減らし、3Dスキャニングを統合するために最適化されている。

このGENESISを使用すれば3Dプリンターと3Dスキャナーを別々に購入する必要はない。また、それぞれのソフトウェアをインストールする必要もなく、コストや時間、無駄な手間を省いてくれる。しかもサイズも小型でデザイン事務所やあらたに製品開発を進めたい起業家、メイカーズに最適な大きさだ。ちなみに出荷は2015年6月に予定しており価格は2200ドル。

GENESIS動画

デスクトップタイプでコンパクト

リモートライブモニタリング機能でエラー検出、スマホで遠隔操作可能

しかもこのGENESIS、スマートフォンアプリでの管理も可能で、プリント中の状況をモニタリングすることもできる。印刷中の自動エラー検出機能で物理的に見ることなくエラーを告知してくれる。万が一エラーが出た場合にはスマートフォンアプリのボタンを押せばストップできるわけだ。

これは現在のミスプリントが多い不安定なデスクトップタイプの3Dプリンターでは非常にありがたい装置で、長時間プリントによるミスの無駄をなくしてくれることになる。たとえば、プリント時間が10時間とか24時間とか掛かる場合はざらにあり、その場合はベタでそこに張り付いているわけにはいかないのが通常だ。

3Dプリンターを起動させたまま帰宅する場合も多い。しかし次の日きた時には、ミスプリントの状態でプリントされていたり、物体が途中までしかできていないのに、材料が出ていないケースなど、無駄なプリントが多々起きる。その場合、このGENESISのようにスマートフォンに通知して停止することができると非常にありがたいというわけだ。

スマートフォンでコントロールもできる

気になるスキャン機能は

このGENESISは、昨日の2月18日にカリフォルニア州サンノゼの理学振興協会(AAAS)の年次総会で発表された。この理学振興協会は科学技術の最新同行を議論するためのイベントで、科学者、技術者、政策立案者、教育者が数千人も集う世界最大級のイベントだ。

そこで発表されたGENESISは重さわずか6キロのコンパクトな3Dプリンターであるにも関わらず、2インチの液晶ディスプレイにWi-Fi統合、さらには、5メガピクセルのカメラで360度のスキャニング、6650立法センチメートルまでスキャンすることができる。

ちなみに3Dプリントの解像度も50ミクロンから200ミクロンまで対応しており、3Dプリントできるサイズは、スキャンサイズの2倍の大きさまで可能だ。GENESISを発表したBLACKSMITHの創業者でCEOの二人アレックス氏とコックブーン氏は南洋理工大学の工学博士出身。本当にユーザーフレンドリーな3Dプリンターを開発したいという思いからこのGENESISを作ったとのことだ。

同じ場所で3Dスキャンと3Dプリントが可能

3Dスキャナー搭載3DプリンターGENESISスペック

  • 3Dプリント製法:FDM(熱溶融積層法)
  • レイヤー解像度:50-200ミクロン
  • 3Dプリントサイズ:6648立法センチメートル
  • 対応フィラメント:PLA樹脂 1.75mm
  • ノズル径:0.4mm
  • ファイル形式:STL、OBJ
  • 3Dスキャニングサイズ:5542立法センチメートル
  • スキャンスピード:約6分
  • 回転ステップ:1200
  • カメラ:5.0 MP CMOS Image Sensor
  • 書き出しファイル:STL、OBJ
  • プリンターサイズ:350mm×250mm×410mm
  • 重量:6キロ
  • 対応ソフトウェア:Blacksmith Sorcerer
  • サポートファイル:STL、OBJ、BS
  • 対応OS:Windows、MacOS、Linux
  • 電圧:100-240V、50-60ヘルツ、100W
  • 接続:USB、SDカード、無線LAN

まとめ 国を挙げて3Dプリントベンチャーの支援を行う

GENESISは世界初となるデスクトップタイプの3Dスキャナー搭載3Dプリンターだ。面白いのが、このベンチャー企業の後押しを、政府や国立研究財団などによって後押しされているのが面白い。BLACKSMITHへの主な資金提供先として国立研究財団、シンガポール総理府、ベンチャーキャピタルなどが挙げられる。

まさに国を挙げてこの新技術の利用と実用化に取り組んでいるといってもいいだろう。ちなみにこのGENESISプリンターの出荷は世界70カ国を予定しており、別途送料150ドルがかかるとのこと。パーツの集積と組み立て産業で成り立っているシンガポールは、3Dプリント技術の一大拠点として、未来のサプライチェーンの中心地になりそうだ。

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