2015年までに1億ドルの投資
GEは3Dプリント技術の使用で最も実績のある企業だ。
既に本サイトでも様々なGEの取組をご紹介してきたが、今回は石油・ガス部門に3Dプリント技術を使用する動きをご紹介。
既にGEは3Dプリント技術を航空機用ジェットエンジンの燃料ノズルに使用し始めているが、今回は石油・ガス部門に包括的に3Dプリント製造を導入しようという動きで、2015年までの2年間で1億ドルの投資を行うとのことだ。
1億ドルとは日本円にして約100億円近い巨額の投資になるが、その金額のほとんどは、プラスチック素材や金属素材を生成する高性能3Dプリンターの導入に充てられるという。
それではGEの石油ガス部門は具体的にどのような用途で3Dプリント技術を使用するのだろうか。
ロイター通信が発表しているところによると、具体的に下記の用途で用いられるという。
ラピッドプロトタイピング
第一が、3Dプリンターの基本的な使用方法であるラピッドプロトタイピングだ。
GEの石油・ガス部門は数百メートルの海底において石油ガスパイプラインを検査するPigsという監視ロボットを製造している。
この監視ロボットはニューキャッスルのGEパイプライン検査向上で組み立てるが、従来は設計に12週間かかったものが、3Dプリント技術を使用することで12時間で済むという。
掘削に使用される部品製造
こちらは既に同じ石油業界の企業、ハリバートンで使用されているが、石油掘削に使用されるパーツの製造に3Dプリンターを使用するという取組。
しかしこちらのパーツ製造での3Dプリント技術の使用はGEの石油・ガス部門の中においてあくまでも小規模な使用になるとのことだ。
ちなみにハリバートン社は世界120カ国で展開する石油・天然ガス等の資源サービスを提供する巨大企業。
ガスタービンの燃料ノズルの製造
こちらは既にGEの航空機部門で使用され、全数3Dプリントで製造することが決定されているが、石油・ガス部門のガスタービン用の燃料ノズルの製造にも使用されることが決定した。
電気水中ポンプの製造
こちらもパーツ製造だが、電気水中ポンプの製造に3Dプリンターを用いて行うとのこと。
直径約10cmから12㎝、高さ約2.5cmまたは5cm程度のパーツ類になる。
ガスタービンエンジン
まとめ
GEは石油・ガス部門への3Dプリント技術の導入によって従来の製造プロセスに比べてより速く、より効率的に、そしてより品質が向上した生産が可能になると考えている。
また、航空宇宙産業と同時に石油・ガス部門の製造力の強化は、まさにこれからの時代の製造だと考えているようだ。
今回の導入において3Dプリンターが使用される範囲は試作製造から最終部品の製造という二つの工程を含んでいるが、こうした動きは巨大企業であるGEだけにとどまらず、様々な業界へ拡大する傾向にある。こうした拡大の背景にあるものは、3Dプリンターを導入することで得られる圧倒的メリットにある。
そのメリットは①コスト削減、②時間短縮、③品質向上の3つであるが、この3大メリットは3Dプリンターの性能が向上が更になされればメリットもより向上すると考えられる。
コスト削減は利益率を高め経営体質の強化につながり、時間短縮は新たな製品開発に資金と時間を投下することができ、品質向上はエンドユーザーのメリットにつながるというプラスのスパイラルを巻き起こす。
そして、まだまだ3Dプリント技術開発は始まったばかりで、造形スピードの向上や、積層レベルの向上、素材の多角化といった使用拡大を推し進める改善がなされている。
こうした技術の革新は導入した側と、全く従来通りのまま導入しない側とでは全く異なる道をたどるのかもしれない。
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