GEが50億円の追加投資で3Dプリント工場の生産体制をさらに拡大

2015年をめどに本格的な3Dプリント生産を開始

本サイトでもたびたびご紹介してきたがGEは3Dプリント技術の使用において、世界でもっとも経験がある企業だ。

今年の中旬にはインドで2億ドル規模の投資を行った3Dプリント生産工場が本格オープンする予定だが、アメリカ本土での生産体制も強化する構えだ。

現在GEはアラバマ州オーバーンに300,000平方フィートにも及ぶ広大な生産設備を持っているが、今回新たに追加で500万ドル約50億円規模の投資を行なうと発表している。

この投資により、大量の高性能3Dプリンターを配備し、同時に300名もの技術者を雇用することを発表した。早ければ今年中には機器の配備と人員体制の拡充を完了させ、来年2015年度から本格的な3Dプリント生産体制を稼働させる見通しだ。

現在配備されている高性能3Dプリンターは10台ほどになるが、GEの計画では2015年の末までに最大で50台体制にしたい考え。いよいよパーツの本格的な3Dプリント製造が開始されるようだ。

今後5年間で40000ユニットを3Dプリンターで製造

今回の3Dプリント生産体制の強化は主にジェットエンジンのパーツ製造を目的としたものだ。

GEはかねてから、ボーイングやエアバスなどジャンボジェットに使用されるジェットエンジンの燃料ノズルの製造を従来の機械加工から3Dプリント製造に切り替える計画を立てていた。

実際に3Dプリント製造に切り替わる燃料ノズルの生産数は、1年間で1000ユニット以上。今後5年で40,000ユニット以上を予定しているという。

おもな使用機はボーイング737 MAX、エアバスA320newoだ。

実際に3Dプリント生産に切り替えることで、多くのメリットが得られるとGEは考えているようだ。生産を切り替える大前提として、燃料ノズルの耐久性向上や軽量化といった性能向上は当然だが、それと同時に消費する材料の無駄や、時間、エネルギーといったコスト面でも大幅な削減が可能になるとしている。

燃料ノズル

学生のインターンシップも受け入れ人材を確保しようとするGE

まとめ -地元教育機関と連携で人材確保-

今回の3Dプリンターへの設備投資は、地元アラバマ州オーバーンにとっても大きなメリットがあるようだ。

第一に、大量の3Dプリンター配備と生産体制の拡大により、地元の雇用が拡大するというメリットがある。

冒頭で述べたように300名近い新規のスタッフがこの1年間で増えることになるためだ。

また、GEは生産体制をさらに拡大することを見込んでおり、雇用はますます拡大することになる。メリットの第二は地域の教育機関との提携関係が生まれるという点がある。

地元オーバーン大学の学長の発表では、今回のGEの3Dプリンター投資により、学生のためのインターンシップや卒業後の進路としても可能性が生まれるとしている。

アラバマ州にはほかの教育機関や大学もあり、学生のインターンシップ受け入れとしてGEは門戸を開くようだ。

特に3Dプリント技術は最先端技術として今後人材確保が最重要なことから、学生だけではなく、GEにとっても将来の優秀な人材を確保したいという狙いがある。

インターンシップにあたってはGEアビエーションの専門スタッフや高度な技術力が実地に学べるだけではなく、技術開発や研究分野でも協力関係が構築されるという。

今後3Dプリント技術や三次元CADデータ等の取扱いができる人材はますます需要が高まっていくことから、GEの取組は秀逸と言えるだろう。

なぜならば、現在教育機関への3Dプリント教育の導入が始まろうとしているが、技術を習得した学生たちが、社会に出るのにはまだ相当の時間がかかるためだ。

そうした点からすると今回のGEの地域工場への投資は、自社の直接的なメリットだけではなく、地域に対しても間接的なメリットをもたらし、地域と一体の経済発展がなされるいいケースだと言えよう。

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