紙やアルミホイルにプリントできるフレキシブルな電子回路基板

By | 2014年11月21日
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電子回路の試作を作るのは大変

今電子回路の分野にオンデマンド生産の流れが登場しつつある。通常、家電製品や電子機器に使用される回路基板は量産品だ。

電子回路の通りに抵抗やトランジスタ、コンデンサなどの細かい電子部品を配置し、はんだづけして接合する。家電製品の機能や用途に応じて回路図を設計し、無数の電子部品の中から最適なものを選択し配置する。極めて複雑な作業で、これを1個単位で行うことはコストの面からも時間の面からも到底不可能だ。

仮に電化製品や電子機器の試作を作ろうと思った場合には、ユニバーサル基板というものを使用するのが一般的だ。ユニバーサル基板は電子部品を通す穴が開いたボードで、このユニバーサル基板に電子回路通りのパーツを配置し、銅線でつなぎはんだ付けする。

こうした作業は簡単な回路図でもかなりの手間がかかり、数時間から数日かかるのが当たり前。また回路通りにパーツとパーツの間を正確に銅線でつなぎ、はんだ付けも正確に行わなければならない。こうした電子回路の試作は非常に手間と時間がかかる。

ユニバーサル基板ではなくプリント基板を使うという方法もあるが、プリント基板を作るためにはエッチングという大変な作業が伴うため、さらに試作を作るには困難だ。こうした状況の中、期待されているのが電子回路のオンデマンド生産機の開発。いわば電子回路の3Dプリンターとも言ってもいいが、プリンターのように1個単位で電子回路が生産することができれば、電子機器の試作は飛躍的に向上する。

こうした中、各社が電子回路のオンデマンド生産機の開発に乗り出しているが、シンガポールの南洋理工大学の研究チームが、フレキシブルな折り曲げ可能の電子回路のプリントに成功したと発表した。

ユニバーサル基板

一般的なユニバーサル基板

試作に最適、紙やアルミホイルにプリントできるフレキシブル電子回路

シンガポールの南洋理工大学(通称NTU)は、シンガポールの国立大学の中でもトップクラスに位置する大学。エンジニアリング、サイエンス、ヒューマニティ、アート&ソーシャルサイエンス、メディカルの学部から構成されるこの理工大学は、テクノロジーの最先端研究を行っている。

今回発表されたフレキシブル電子回路は、プラスチックや、アルミホイル、さらには紙のような日常的な可撓性材料の上に電子回路をプリントできるという内容だ。

一般的なプリント基板に使用されるコンデンサや抵抗、トランジスタなどの主な電子部品は、銀ナノ粒子、カーボン、プラスチックなどの非毒性有機材料を用いてプリントされている。そのため、有毒化学物質や酸化剤を使用しない環境にやさしい電子回路基板が完全にプリントされる。

このNTUの研究チームが開発したフレキシブル回路基板は、4ビットのアナログ変換器を備えており、一般的にはスピーカーやヘッドホンに音を変換するデジタル信号として使用される機能だ。また、同時に、無線周波識別(RFID)タグは製品の追跡で使用される機能になりそちらも備えている。

ちなみにこのオンデマンドでプリントできるフレキシブル回路基板は、高性能な電子回路としてではなく、安価で量産することができるものとして使用される。まさに電子回路の試作開発にはうってつけというわけだ。

フレキシブル電子回路基板

NTUが開発したフレキシブル電子回路基板

南洋理工大学 フレキシブル基板

南洋理工大学の研究チーム

まとめ 導電性と接合精度をどう高めるかが課題

この南洋理工大学の研究チームの発明に、ベンチャーキャピタリストが本研究の商業科に資金提供の関心を示しているようだ。この技術が商業ベースで実用化されれば、電子回路の試作にも最適だし、また今後市場拡大が期待されるデジタルとアナログの統合、モノのIT化の関連製品にも有効に働くとみられている。

当面期待されているのがこのプリント回路基板を使ったスマート照明の開発で、この実用化に成功すれば、様々な製品への転用や利用が可能になる。ただし、実用化にむけて最も重要な点が導電性の課題であり、現在の金属によるプリント基板にどの程度追いつけるかが鍵となる。

電子機器の性能を決めるのはひとえに、「導電性と接合の精度」これにほかならず、不具合や不良の原因はほぼこの部分にあると言っていい。古代から使用されてきたはんだや、銅などが、いまだに使用されているのも電気を通すという物性が商業利用されているこの世のどんな物よりも高いためだ。オンデマンドやフレキシブルな電子回路は期待されるが、導電性と接合技術という観点から見て、既存品を超えることができなければ実用化は難しいかもしれない。

電子機器のクオリティを左右する、はんだの重要性はこちらをどうぞ

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