シリコンバレーの100社が集結。アメリカのフレキシブル・エレクトロニクスの開発

By | 2015年9月2日
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電子機器や家電製品の発展は止まらない。アメリカの新たな挑戦

スマートフォンやノートパソコン、テレビなど、現在の電子機器の全ては四角くて硬い。これは電子機器の形状が、プリント基板の形状によって制約されているからにほかならない。電子機器は言うまでもなく、電子回路が描かれ、無数の電子部品がはんだ付けされたプリント基板で動いているが、その外側をおおう製品の外観は、内部にあるプリント基板の形状によってそのデザインの自由度が限定されている。

これまで、スマートフォンやノートパソコンなど多くの家電製品の発展の背景には、電子回路を構成する電子部品とプリント基板の発展が大きく貢献している。

例えば、パソコンは20年前まではデスクトップタイプのダンボール箱のように大きいものであったが、現在は極薄の手のひらサイズにまで集約されている。また極薄化、極小化を成し遂げるだけではなく、処理速度や容量は大幅に拡大している状況だ。

こうした電子機器の極薄化、極小化の背景には、電子部品の極小化と、プリント基板の多層化、そしてそれを接合するための、はんだの精密さが存在している。1枚に見えるプリント基板には実は何層にも及ぶ電子回路が描かれた層で構成され、針の先ほどの大きさの電子部品が正確にはんだによって接合され、始めて機械として使えるようになる。

言うなれば、電子機器の発展の歴史は、電子回路を構成する要素、プリント基板や電子部品、はんだの発展と言い換えることもできる。多くの家電製品の市場を見ていると、同じような形状や同じような製品ばかりで、既に発展しつくした感が見られるが、電子機器の発展は決して終わったわけではない。

今新たに、アメリカのシリコンバレーを中心に新たな電子機器の開発に挑戦する動きが登場している。本日はアップルやヒューレットパッカードなどシリコンバレーの100社以上が参加する、アメリカが取り組むプロジェクト。柔軟なフレキシブルハイブリッド電子機器の開発をご紹介しよう。

フレキシブル エレクトロニクス

162の企業、大学、研究機関、政府組織から構成される一大プロジェクト

アメリカは既に、多くの先端企業を集結させ生産革命を推し進める3Dプリントの一大研究所を開設している。こうしたものづくりに革命を起こす取り組みは、3Dプリントの分野だけではない。今回アメリカは新たに、電子機器の概念を変える、柔軟なフレキシブル電子機器の開発を目指す新たな研究所を開設している。

柔軟なハイブリッド・エレクトロニクス(FHE MII)のための生産革新研究所(MII)」と呼ばれるこの研究機関は、FlexTech Allianceとシリコンバレーのハイテク企業が中心となって構成される国を上げた一大研究機関と言えるだろう。

シリコンバレー企業では、アップルやヒューレット・パッカードを始代表する100社以上が参画。他にもケロッグや、GE、ロッシュ、ボーイング、ロッキード・マーティンといったそうそうたる企業が集まっている。また、このFHR MIIに参加するのは企業だけではない。

全米のあらゆる地域の研究所や非営利組織、大学、政府組織によって構成される。この構成組織は全部で162になり、いわば、官民学のすべての機関が連携して柔軟性のあるフレキシブルな電子機器を開発しようという取り組みだ。

柔軟なハイブリッド・エレクトロニクス(FHE MII)のための生産革新研究所(MII)動画

フレキシブル エレクトロニクス

フレキシブル エレクトロニクス

162の企業と研究機関、大学が集結

アメリカ国防総省と共同で開発。医療ヘルスモニタリングシステムが第一弾

この取り組みの第一段の開発として行われるのが、アメリカ国防総省と共同で行われる米軍のためのフレキシブルエレクトロニクスの開発だ。この開発プロジェクトは今後5年間にわたり行われ、賞金として連邦補助金の7500万ドル、メンバーのコストシェアで9600万ドルが予定されている。

国防総省における開発プロジェクトでは具体的なものは提示されていないが、FHE MIIのプレスリリースの内容によると、米軍兵士などの状況をモニタリングできる医療ヘルスモニタリングシステムを中心に開発が行われるようだ。この柔軟な電子デバイスによるヘルスモニタリングシステムは、単純に軍事用としてだけではなく民間転用が期待される分野であり、高齢者、フィットネス、医療用などさまざまな分野での使用が期待できる。

このプロジェクトが国防総省で完了した暁には、再度それを参加企業や公立大学などに提供し、任意の教育プログラムを通じて、商用化がなされる事になる。ちなみに、このフレキシブルデバイスを開発するためには、積回路(IC)の業界、グラフィックス印刷の業界、電子実装の業界など電子機器を構成するためのさまざまな分野との連動、総合的な開発が求められるとのこと。

フレキシブル エレクトロニクス

まとめ 製品開発やデザインの可能性を無限に拡大

フレキシブルで柔軟な電子機器の開発は、まさにこれからといえよう。これまでの電子機器の発展を支えてきたプリント基板は、電子部品、はんだ、といった素材は、驚く程複雑で、ミクロレベルの精密な精度が求められる。こうした複雑で精密な回路基板をどのように柔軟な素材に適合させるかということが課題になるだろう。

電子機器は冒頭でも述べたとおり、その核となるプリント基板や電子部品によってその形状や外観的なデザインが制約を受けるが、フレキシブルになることで、まったく異なるデザインや機能性の製品が開発することができるだろう。またこれまでハードウェアとして機能することができなかったものが、フレキシブルなプリント基板が開発されることで対応できるかもしれない。

例えば、現在では衣服を電子化する開発など新たな試みが始まっているが、国防総省が開発する身につけて使用できる医療ヘルスモニタリングシステムや、腕に巻きつけられるスマートフォンといった、さまざまなプロダクトが登場する可能性を秘めている。エレクトロニクスの分野も今後数年で大きくまた進歩することになりそうだ。

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