人間の皮膚より柔軟、完全に折り曲げ可能。フレキシブルエレクトロニクスの開発

By | 2015年8月19日
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エレクトロニクス製造を変えるアメリカ空軍の開発

技術が進歩するきっかけはさまざまだが、軍事が科学技術の進歩を牽引してきたという時事は否めない。コンピューターやインターネット、原子炉にロケットなど、現在では主流となる科学技術の多くが、元は軍事技術の研究から民間転用されたものだ。

軍事技術の開発が民間転用される理由の一つはさまざまだが、第一に軍事目的の開発が過酷な条件下や環境下における使用を想定しており、その場合における人体の安全に関するものということが挙げられる。こうした安全性が確保されたという信頼性から、民間用にそのまま適合しても問題ないという判断がされるためだ。

また、同時に軍事技術の開発は国家が多額の投資を行ってするものであり、その豊富な資金と優れた人材、外部機関との連動によって開発されるため、一民間企業の開発とは比較にならないレベルで開発が行われるということもある。現在我々の生活に必須のインターネットや電力を供給している原子炉も軍事目的で開発されたものをベースに、改良・改造が行われ民間使用が普及している。

いわば、軍事によって開発された技術は最先端であり信頼性が高いといっても過言ではない。本日はそんな軍事から民間利用に転じられそうなある画期的な開発をご紹介しようと思う。現在、エレクトロニクス製品は数多くの製品が生み出されているが、今回ご紹介するアメリカ空軍のライトパターン空軍基地空軍研究所が開発するその技術は、多くのエレクトロニクス製造に影響を与えるものだといえよう。

フレキシブルエレクトロニクス 柔軟な電子デバイス

人間の皮膚より柔軟で折り曲げできる電子デバイスの開発

ライトパターン空軍基地の空軍研究所が開発するこの技術は、人間の皮膚(30%の柔軟性)よりも柔軟性にとみ、100%の柔軟性をもつ、すなわち完全に折り曲げることができる電子デバイスの開発だ。当たり前の話だが現在の世の中に存在するすべてのエレクトロニクス製品が折り曲げることは不可能だ。

私たちの身の回りに存在するノートパソコンやスマートフォンなど、すべての電子機器が硬い筐体に覆われている。これは現在のエレクトロニクスの構造上の問題による。基本的に機械を動かすためには電子部品と電子回路が描かれた基板、そしてその二つを接合するはんだが必要だが、こうした電子部品や電子回路は基本的に硬い金属と樹脂によって製造されている。

そのためエレクトロニクス製品の形状は、必然的に動力の核となるプリント基板の形状に左右されるというわけだ。年々パソコンが小型化、薄型化してきた背景には、この動力源となるプリント基板と電子部品の形状が極小化、極薄化に進化してきたからだと言える。

だがしかし今回、ライトパターン空軍基地の研究所が開発している概念のものは、完全に柔軟で、既存の樹脂や金属で固形化したプリント基板ではない。この開発を行うレバー博士によると、「わずか数ナノメートルの厚さで非常に薄くすることが可能。またそれは非伝統的な基板上にセンサーや電池、コネクターといったデバイスの組み合わせを置くことができ、伸縮性や適合性に優れたもの」とのことだ。

フレキシブルエレクトロニクス 柔軟な電子デバイス

100%の柔軟性をもつ電子機器の開発

兵士のフィジカルデータパッチや航空機の翼などに使用

このフレキシブルな柔軟性を実現するための鍵は、ある金属素材にあるという。それが、ノースカロライナ州立大学のマイケル·ディッキー氏が開発したガリウム液体金属合金だ。通常、従来のプリント基板は銀や銅などの導電性の高い金属で回路がプリントされるが、このフレキシブル基板では、ガリウム液体金属合金が回路の役割を果たして動作する。

柔軟なポリマーベースのプラスチックの内部にこのガリウム液体金属合金の回路を内蔵し、さらにはセンサーや電池、コネクターと組み合わせをすることが可能となるわけだ。

この技術で開発される製品は主に兵士のフィジカル情報を収集して送信するデジタルバンドエイドのようなパッチを想定しており、水和レベルや疲労レベル、またその兆候などを兵士の肩などに貼ることでデータ収集するということが可能になる。また、航空機の内部や翼にこのフレキシブルエレクトロニクスを適合させることで多くのパフォーマンスを発揮するとの期待が持てる。

例えば既存の翼などの形状を変形させることなく翼に付着させることでその性能を低下させることもなく、新たな機能を追加することも可能だし、取り外しや交換も容易になるとのことだ。

フレキシブルエレクトロニクス 柔軟な電子デバイス

兵士の体調管理や、航空機などの安全管理

まとめ 家電製品だけではなく、医療目的や幅広い分野に転用が期待

このライトパターン空軍基地の空軍研究所によるフレキシブルエレクトロニクスデバイスの開発は、軍事利用だけではなく、大いに民間のエレクトロニクス開発に利用が期待できそうだ。冒頭でも述べたとおり現在すべての家電製品や電子機器が硬い形状のままである。機能とデザインを関連付ける部分が、基板の形状などによる制約を受けている状況ともいえよう。

しかし、フレキシブルに柔軟性のもつエレクトロニクス製品が実現可能になれば、〝今ある多くの製品゛もまったく異なる機能や役割を発揮することができるかも知れない。例えば、この技術で開発が想定される兵士のフィジカルデータを収集して送信するデバイスなども、医療目的やスポーツ、フィットネス目的などでも十分利用が可能だ。

まさにこのフレキシブルエレクトロニクスの開発は、さまざまな分野に転用できるアプリケーションだといえよう。今後の実用化が期待されるところだ。

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