GEとローカル・モーターズが未来の製造業プラットフォーム「FirstBuild」を始動

クラウドと3Dプリント技術を融合した次世代製造プラットフォーム

クラウド技術と3Dプリント技術を使った次世代型ともいえる製造プラットフォームが本格的に始動し始めた。この取組を開始したのはエレクトロニクス産業のグローバル企業であるGEと自動車製造のオープンコミュニティ、ローカル・モーターズだ。

この新しい製造プラットフォームは「FirstBuild」と言われ2014年夏に本格始動する予定だ。ローカル。モーターズに集まっている多くのデザイナー、エンジニア、科学者、加工業者など様々なフィールドの人々の力を製品開発、製品改良に本格利用する考え。

製品のアイデア出しから、デザインをオープンコミュニティで行い、3Dプリント技術で迅速に試作品を製造、その後最終品として販売を行う、クラウドプラットフォームだ。2014年の夏のスタート時にはGEの主要なキッチン用家電製品の改良のプロジェクトがスタートされる。

ローカル・モーターズに集まった全世界中のデザイナー、エンジニア、加工業者、科学者のアイデアや意見が結集されることで、想像もつかない製品が開発される可能性があるだろう。GEは2014年夏にスタートさせ、年末には消費者のもとへ改良された最終品を届けたい考えだ。

本格始動の具体的発表はこちらをどうぞ

クラウドで全世界のアイデアを製品開発に活かすGE

GEが自社の製品開発にクラウド技術を生かすのはこれが初めてではない。既にCAD設計者やデザイナー、エンジニアが集まる3Dデータサイト「GrabCAD」と提携し、自社のジェットエンジンに使用されるパーツの改良に、「GrabCAD」上からアイデアを集め、全世界56各国、700名近いデザイナーから改良案を集め次世代型のパーツ製造を可能にした。

また、一般人のアイデアから製品化を行うマーケットプレース「Quirky」においても自社のエレクトロニクス製品の特許を公開し、クラウド上で製品改良の意見が生まれる仕組みで自社製品の改良にあたっている。

さらに、他社と提携しクラウド技術を利用するだけではなく、自社でも「エコマジネーション・チャレンジ」という製品開発のアイデア募集を行うことで、起業家、学生など世界中の人々から製品開発に関するアイデアを募集し、優秀なアイデアに関しては合計で2億ドルもの創業資金を出資している。

「FirstBuild」のイメージ

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クラウド型メーカーの時代

今回のローカル・モーターズとの提携もその一環と言っていいだろう。しかし今回の新たな取り組み「FirstBuild」が従来のGEの取組と異なる点は、アイデア出しから製品開発、そして完全な少量生産から販売を行う点だ。

いわば、クラウド上における完全なメーカー、すなわち、「FirstBuild」に参加する様々な立ち場の人たち、デザイナー、科学者、エンジニア、加工業者、によって、製品開発から販売までの一連のモノづくりがなされるプラットフォームと言える。

オープン参加型のコミュニティで開発から販売まで行なう

下記は「FirstBuild」の動画だ。

まとめ -既存の流通と価格戦略を破壊する取組-

「FirstBuild」ではGEが行っているあらゆる家電製品、例えば冷蔵庫、冷凍庫、調理品、食器洗浄機、洗濯機、乾燥機、エアコン、水のろ過システムや給湯器などが改良され、販売されることになるという。製品改良にあたっては、ローカル・モーターズに参加する多くのデザイナーやエンジニア、科学者などの力が大いに発揮されることだろう。

ローカル・モーターズ上には約3660名近いデザイナーやエンジニア、加工業者などが参加しており、製品企画やデザインに様々なアイデアやデザインが結集される仕組みだ。さらに特長的なのは、3Dプリンターを使った試作品製造や量産にあたっては、コミュニティに参加するデザイン事務所や加工業者が行うことになる。

この「FirstBuild」の仕組みは従来からある流通の仕組みや製品価格自体をも破壊しかねないプラットフォームだ。

例えばある特定の製品の開発がWEB上のプラットフォームで行われ、最終品の製造段階では、コミュニティに参加している各地域の工場や加工業者が行うようになれば、1か所で開発から量産まで行う従来の製造業の形態よりも、はるかにコストと時間を削減してエンドユーザーに製品を提供することが可能だからだ。

3Dプリント技術で20年以上の歴史を持つGEだからこそ、デジタルデータに基盤を置く3Dプリントの長所を最大限生かし切った取り組みだといえる。

もし「FirstBuild」が本格的に始動したら、従来のメーカーでは想像もつかないスピードと低予算で、製品改良と開発を行い、世界中に張り巡らされた生産網によって、物流費コストをかけない製造が可能になる。

極端な言い方かもしれないが、既存の単一のメーカーではどれだけ巨大だとしても、太刀打ちすることが難しい時代になるのかもしれない。3Dプリント技術とクラウド技術の最大の強みを生かした、既存のモノづくりの体制を破壊する恐るべきプラットフォームだと感じられる。

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