鋳造と金属加工を変えるExOneのバインダージェット3Dプリンター

By | 2015年8月21日
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古代から続く金属加工鋳造と、最先端の3Dプリント技術の融合

鋳造は古代から使用されている金属加工の一つだ。鋳造は型に溶かした金属を流し込み冷却して固める技術。古代では大仏や梵鐘、工芸品などに多く使用されてきた。鋳造で使用される型は、砂を固めた砂型や、金属の金型を使用する方法など、さまざまな手法がある。

一般的に鋳造というと古めかしいイメージを持たれることが多いが、実は現代でも主流の加工技術。鋳造で作ることができる金属製品の特長は、精度が高く、複雑で精密な形状を作ることができる。例えば航空機の時代に応じて最新技術と結びつくことで独自の進化を遂げている加工方法だと言えよう。

最近ではデジタル製造技術の進化によって、3Dプリターと組み合わせてより精密で高度な物を鋳造で作ろうという動きが登場している。本日はインベストメント鋳造(ロストワックス鋳造)を進化させるバインダージェット方式の3Dプリンターの活用事例をご紹介しよう。最も古い金属加工技術であるロストワックス鋳造と、最先端の3Dプリント技術の融合で、より高密度でコスト効率の高い金属パーツの製造が可能となっている。

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

ExOneの3Dプリンターでデジタルデータからダイレクトに型を製造

ロストワックス鋳造と3Dプリント技術の融合の前に、ロストワックス鋳造の仕組みについてご説明しよう。ロストワックス鋳造とは、その名前のとおりロウ(ワックス)を使った鋳造方法のことだ。

一番始めに蝋を使って作りたいパーツの原型を作り、その後その蝋の周辺をシリカや石膏などで固める。その後型を加熱することで内部の蝋を溶かして取り除き、溶けてできた空洞に溶かした金属を流し込んで冷却し固めるという方法だ。その後型を取り除いて完成させる。

おおまかに言うと以上のような流れで、その工程は全部で4段階。①蝋で原型を作る、②蝋の原型を石膏で囲む、③加熱して蝋を流す、④溶けた金属をいれて固めるといった工程だ。

アクセサリーなどはこの方法で作られるが、最近ではロストワックス用の樹脂を使い3Dプリンターで蝋の原型を作るという手法がとられるが、本日ご紹介するのは、①から③までの工程を一気に短縮してしまう取り組みである。

その取り組みを可能にするのがExOneのバインダージェット方式の3Dプリンターであり、ダイレクトにデータから内部が空洞の型を作ることが可能になるわけだ。そもそもバインダージェット技術は、粉末材料の層に結合剤を付着させ、モデルを構築する製造方法であり、その特徴は非常に高解像度で3Dモデルからの構築を可能にする。

このバインダージェットで使用される粉末材料は鋳造用の専用砂材料であり、一気に溶かした金属を流し込む工程までたどり着くことができる。ちなみに、鋳造用のバインダージェット方式の3Dプリンターメーカーとして有名なのが、以前もご紹介したドイツのVoxeljetと、今回ご紹介するアメリカのExOneだ。

鋳造とExOneバインダージェット3Dプリンターの動画

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

デジタルで最終品を設計

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

最終品と同時に鋳造用の型もデジタルで

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

型は3つのパーツで構成される

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

バインダージェットのシミュレーション

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

製造開始

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

パーツを抽出

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

3つに分かれたパーツを接着剤で組立

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

砂型が完成

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

溶かした金属を流し込む。ここからは従来の鋳造と同じ

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

冷却して固めたあと型を取り外す

ロストワックス鋳造 ExOne バインダージェット3Dプリンター

後処理して完成

まとめ デジタル技術と伝統的製造技術の融合で進化

上記でご紹介したようにExOneのようにバインダージェット方式の3Dプリンターを使用すれば、デジタルデータからダイレクトに型を作ることが可能となる。わざわざ最終品の原型を作り、石膏やシリカで固める必要はなくなる。また、バインダージェット方式の3Dプリンターの活用は、こうした工程を短縮するだけではなく、従来のロストワックス鋳造とは違い、大きさの制限が拡大するというメリットがある。

例えばこのExOneのように一つの砂型を作るために、複数のパーツを組み合わせて構成している。またバインダーの堆積にも依存しており、パーツの組み合わせによってある程度の大きい型を作ることも可能となる。こうしたバインダージェットと鋳造の組み合わせは、より精密で高度な設計が求められる金属パーツの製造に最適だといえよう。

こうした3Dプリンターでダイレクトに型を作る取り組みは、既にプラスチックパーツを作る現場では使用され始めている。ストラタシスの3Dプリンターでは、プラスチックパーツ用の金型を樹脂素材でダイレクトに製造することができるし、既に利用も開始され始めている。

今回のExOneと同様、従来の製造工程に革新的な影響を与える取り組みだといえよう。ロストワックスでのデジタル技術の導入は、伝統的な製造技術が、バインダージェットの3Dプリンターとの組み合わせによって、より進化しより高度なものになっていく秀逸な事例だと言える。こうした高度で精密化された製造技術から、新たに進化したモノが生まれてくるに違いない。

型と3Dプリンターの利用に関する記事はこちらもどうぞ

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