スマートフォン専用3Dスキャナーeoraが登場。高速、高精度、広範囲を実現

スマートフォンで3Dスキャンをする時代に

3Dデータを作る方法がより一層身近なものになりつつある。3Dプリンターを使用するためには3Dデータの存在が必須だが、この3Dデータがソフトウェア技術やスキャニング技術の進化によって誰でも手軽に利用できるものになりつつあるようだ。3Dソフトでは、オートデスクのFusion360のように、機械的特性を自動で計算してくれるものや、より直感的に操作できるソフトウェアが登場している。

同時に物体の構造をスキャンし、それを3Dデータに取り込むスキャニング技術も続々と手軽になってきている状況だ。とりわけスマートフォンを使用した3Dスキャナーの存在が大きいと言えるだろう。以前もご紹介したがマイクロソフトはすべてのスマートフォンを3Dスキャナーにしてしまうアプリケーションを開発しているし、インテルはスマートフォン用のカメラを3Dスキャン機能付きに変更しようとしている。

そのうような中、以前もご紹介したiPhone専用の高性能3Dスキャナーeora3Dスキャナーがキックスターターで利用可能となった。前回のリリース時にはiPhoneのみでの対応であったが、新たにアンドロイドのスマートフォンでも対応可能となっている。装着するだけで100ミクロンの精密な3Dモデルを生成することができる3Dスキャナーeora 3Dスキャナーをご紹介しよう。もはや時代はスマートフォンやアプリケーションでの手軽な3Dスキャンの時代になりつつあるようだ。

スマートフォンで高速、高精度、広範囲の3Dスキャンが可能に

Eora3Dスキャナーは、前回もご紹介したが改めてその機能をご説明しよう。その最大の特長は解像度とスキャニングの範囲・スピードだ。Eora3Dは、スマートフォンに装着するだけで200mmの高さの物体を約5分で3Dスキャンすることができる。その精度は精密光学レンズとグリーンレーザーにより800万ポイント、100ミクロンの高精度をほこるほどだ。

本体は円筒形のアルミ素材の装置でBluetooth経由で自らのスマートフォンに接続しレーザーで物体の正確なカラーをスキャニングし3Dモデルを構築する仕組み。スキャンされた3Dモデルは共有、編集、拡大して確認が可能で、かなり詳細に拡大して表面のスキャニング状況を確認できる。

またスキャニングの範囲は3フィート×3フィート(約91センチ四方)まで可能で、堅牢な高解像度でスキャンできる。いわば高速で高精細で尚且つスキャニング範囲も広いという消費者向け3Dスキャナーとしてはこれまでにない性能を持っている。今回キックスターターでの資金調達にあたっては、前回のiPhone専用という対応から、アンドロイド、HTC、Googleネクサス、などと互換性を持つ。

さらに3Dスキャンを行う際に使用する専用アプリケーションでは、操作が非常に簡単。スマートフォンの画面をタップするだけでスキャニングが可能で、さらにはスキャンした3Dモデルの表面上の歪みを解析することが可能だ。ちなみにキックスターターでの価格は199ドルからで、希望小売価格は330ドルになる予定。また別途Bluetooth対応の回転テーブルを付けることもできる。

Eora3Dスキャナー動画

回転用の台もセットで
スキャニング後、拡大して表面のレベルを確認

スマートフォン専用3DスキャナーEora3Dスキャナースペック

  • 対応OS:iOS、アンドロイド
  • 解像度:800万ポイント、100ミクロン
  • 射程距離:1メートル
  • スキャニング範囲:3フィート(約91センチ)四方
  • スキャニング時間:5分(処理時間含む)
  • 正確度:キャプチャサイズ±0.25mm
  • ファイル形式:STL、OBJ、PLY
  • 集積プラグインを介してShapewaysとSketchfabにアップロード可能
  • ボディカラー:ダークグレーとシルバーの2色
  • 付属品:Bluetooth対応ターンテーブル
  • サイズ:60mm×60mm×150mm
  • 重量:0.98kg
  • 電源:100-240VAC、50-60Hz
  • 動作温度:0℃~35℃
  • 無線接続:Bluetooth4.0
  • スキャナタイプ:非接触三次元測定器 レーザーラインスキャナ
  • レーザータイプ:5mWグリーンレーザー、520nmの波長、精密光学用レンズ搭載

続々と登場するスマートフォンの3Dスキャン対応

このeora3Dスキャナーの登場によって、3Dスキャナーと3Dモデリングがますます身近なものになるだろう。また同時に199ドル、希望小売価格330ドルといった低価格化により、使用する人の範囲がより拡大するかもしれない。3Dスキャナーの民主化はすなわち3Dデータ化の民主化につながる部分であり、より多くの人がデジタルものづくりの世界に興味を持ちやすいきっかけともなるだろう。前述下通り、多くの企業がスマートフォンで3Dスキャンをできるようにする開発を進めている。

すべてのスマートフォンのカメラを3Dスキャンカメラにしようという開発を行うインテルしかり、またアプリケーションで3Dスキャン機能を行うというマイクロソフト然りだ。このように3Dスキャナーがより手軽に扱えるようになることで、3Dデータを作るという作業はより簡略化されてくるだろう。この3Dスキャナの民主化の動きは3Dデータを構成するためのソフトウェアの進化と相まってより一層簡単なものになる。例えばオートデスクのFusion360などは、3Dデータ化がかなりの部分まで自動化され、強度などの機械的特性もオートメーション化されつつある。

MakerFairでの様子

まとめ ものづくりやデザインに求められるスキルが変わる

このように見てみると、3Dデータ化はもはや単純な作業ですらなくなるのかもしれない。今後ものづくりにおいてデジタル技術は必須の技術だが、スキャニング技術やソフトウェア技術がどんどん進化することで、ものづくりやデザインに関わる人間にはもっと別のスキルが求められるようになるのだろう。

3Dプリンターでアウトプットするための技術がより簡略化され高機能になれば、いわば誰が作っても変わらない、同レベルの性能に近づいてくることが予測される。そうなると、それ以前のより価値に関わってくる部分が重要になるのではないだろうか。誰のどんな課題を解決するためのものなのか。そして誰にどんな価値を与えるものなのかといった、より根源的な部分がものづくりやデザインに必要になるのだろう。

デジタル技術の進化は、こうした人間の役割や価値自体も変え始めていると感じさせられる開発だ。

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