あらゆる金属素材に対応した光造形(DLP)3Dプリンター

By | 2016年10月5日
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様々な製法が登場する金属3Dプリンター

金属3Dプリンターが様々な進化を遂げつつある。プラスチック素材は、光造形やFDM、インクジェットタイプなど様々な製法が進化しつつあるが、金属造形の分野も独自の進化を遂げている。代表的なレーザー焼結(SLS)だけではなく、最近GEに買収された電子ビーム溶解積層法で世界一のシェアを誇るARCAM社(スウェーデン)、液体金属をインクジェット方式で高速造形するXjetなど、多くの製法が登場してきている。

こうした金属造形の進化の特長は、プラスチックの3Dプリントと同様、高速性を高め、最終品の生産を視野に入れたものだ。例えばGEは明らかにその方針を指示しており、2020年には3Dプリント製造によるリターンで、10億ドル規模の事業に成長していることを見越している(ちなみにGEが2010年以降、3Dプリント関連事業に投資した金額は15億ドル)。また次の10年間で30から50億ドルモノ製品コストダウンを期待している。

このように金属造形のダイレクト製造の波は、着実に進んでおり、各社の開発競争に拍車がかかりそうだ。今回ご紹介するProdwaysもそうした新たな金属造形を開発している会社の一つ。以前もご紹介したセラミック素材の光造形3Dプリンターを開発していたが、今回新たに金属ペーストによる3Dプリンターを開発した。

GEなど金属の3Dプリンター開発が盛んに

GEなど金属の3Dプリンター開発が盛んに

あらゆる金属と互換性を持つ光造形の金属3Dプリンターを開発

Prodwaysは、フランスのエンジニアリング企業Groupe Gorgéの子会社である。Groupe Gorgéは、1400名を抱えるフランスの中堅企業で、主にロボット製造、原子力分野、3Dプリント関連などの技術開発を行う企業である。

その子会社であるProdwaysは,3Dプリントの開発で独自の分野を開拓している。前回ご紹介した際には、移動式画像投影システム「MOVINGLight技術」を採用した3Dプリンターを開発し、セラミックパーツの大量製造を可能にしていた。また今年2016年の5月にはレーザー焼結法による3DプリンターProMaker P1000を開発し、金属製造の分野に参入していた。

そんな独自3Dプリンターの開発に意欲的なProdwaysが今回開発した金属造形マシーンは、Prodwaysが独自開発した移動式画像投影システム「MOVINGLight技術」を採用したものとなる。

移動式画像投影システム「MOVINGLight技術」とは、光造形法の製法の一つでもあるDLPプロジェクターを使用し、光硬化性樹脂をペースト状にひき、そこに紫外線を照射し高速で固める方法で、セラミックパーツの3Dプリンターに採用されていた。

レーザー焼結法(DMLS)の5倍高速。超高密度を実現

今回の金属3DプリンターProMaker V6000は、この「MOVINGLight技術」の原理を利用し、高速、高密度製造を可能にしたものだ。結合剤と金属粉末を配合した有機バインダーを使ってプリントし、オーブンで焼結させる仕組みである。

ProMaker V6000では、オーブンに最終焼結する前に、DLPプロジェクターによって硬化し、安定力を高めたのち最終焼結し製品化する。この製法によって作り出される金属パーツの特長は密度が非常に細かい造形が可能とのこと。

1秒で50ミクロンの層で硬化することが可能で、金属成分を90%保った密度でパーツを造形できる(ちなみにセラミックパーツの場合は密度99%を達成)。現在チタンやインコネルなどでのテストは完了しており、銅、コバルト、クロム、スチールといった様々な金属素材での造形も視野に入れている。

光造形 DLP 金属3Dプリンター チタンパーツ

金属ペーストの光造形3Dプリンターで作られたチタンパーツ。将来的にあらゆる金属素材に適応させる。

運用面の利便性も。サポート材も不要で安全性も高い

また、この光造形と金属ペーストの3Dプリンター利点は様々であり、造形精度だけではなく運用面においてもこれまでのレーザー焼結法を超えるメリットを発揮する。例えば、生産性でいえばレーザー焼結の5倍のスピードでプリント可能で、非常に高い精度を持つ。さらに、金属ペーストと「MOVINGLight技術」による安定した製法は、サポート材が不要となる。

運用面での最大のメリットは超微細なペースト状であることから、従来の粉末造形のような特殊なスーツや人工呼吸器を着用しなければならないといった点がない。

光造形 DLP 金属3Dプリンター

セラミックでは99%の配合率を実現し、新たに金属素材にも対応するProMaker6000

ProMaker V6000の利点

  • DMLS金属3Dプリントよりも速く5倍の印刷処理速度を持つ。
  • チタン、インコネル、コバルト-クロムなど、ほぼ金属素材に対応できる
  • 非常に細かい粉末を使用することで微粒子を生成しないため環境に優しく安全性が高い
  • より少ないエネルギーで造形可能。コストが低い
  • 現在の金属3Dプリント技術では不可能な非常に高い精度を実現可能
  • 造形サイズ:127 mm × 508 mm × 152 mm
  • サポート材が不要

まとお MIMメタルインジェクションの代替を狙う

Prodwaysが開発したV6000は、従来のレーザー焼結法に比べて5倍高速で、同時にほぼすべての金属素材に適応可能であり、さらにはサポート材の不要や安全性の高さなど、運用面での利便性も高い。この開発にProdwaysは2年近い歳月を費やしているが、将来的にはMIM金属射出成型の代替として確立させることを視野に入れているという。

MIMとはメタルインジェクションモルディングの略であり、今回の金属ペースト3Dプリンターのように金属粉末にバインダーを混ぜ合わせた金属ペーストを射出成型機で成型する加工方法。基本的な原理は同じだが、当然のことながらMIMでは一定数のロットが求められる。

ProMaker V6000は、MIMに比べてコストパフォーマンスが高く、同時にMIMの金型では実現できない複雑で精密な部品製造も可能になるとのことだ。金属造形の分野はXjetの登場でさらに進化したが、Prodwaysの登場で、さらに新たな境地を開いたといえるだろう。

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