低価格3Dプリンターの使用を無限に拡大、食品からシリコンまで対応可能「Discov3ry Extruder」

圧倒的市場シェアを誇るFDMタイプの3Dプリンター

ここ最近注目を集めている低価格タイプの3Dプリンターだが、大きく分類すると2種類の製法に分けられている。

樹脂を溶かして積み上げるFDMタイプと、液体の紫外線硬化性樹脂を使った光造形タイプに分けることができる。

光造形は、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂アクリル樹脂をベースにした紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し固める製造技術。

最近は造形精度がいいことや、さまざまな材料が登場しており、ポリウレタンなどのゴムライクな材料も登場してきている。デスクトップタイプではFormlabs社のForm2がSLAタイプの光造形3Dプリンターとして人気を集めている。

しかし、現状何と言っても市場で圧倒的に流通しているのはFDMタイプの3Dプリンター。

MakerbotやReprap、Ultemakerなど低価格タイプの市場はほぼ全てといっていいほどFDMタイプになる。

しかしFDMタイプの3Dプリンターには課題も多く、今一つ手が出ないという人も多いのではないだろうか。その理由の最大のものとして使える素材がかなり限定されることがあげられる。

最近はFDMタイプ用にさまざまなフィラメント材料が登場しているが、それでも実際に使用されるのはABS樹脂とPLA樹脂の二つの樹脂になる。

またフルカラー化も実現されていない今、単色のプラスチックの造形物を作るのがほとんどだ。

そんな状況の中、既存のほとんどのFDMタイプの3Dプリンターに取り付けるだけで、使用できる材料を無限大に拡大してくれる画期的な付属品が登場した。

既存の低価格3Dプリンターがマルチ素材対応に早変わり

新たに登場したFDM対応Discov3ry押出機は、極端な話、ペースト状にできるものならなんでも対応可能のようだ。

現在資金調達サイトキックスターターで名乗りをあげているが、驚異的なのは既存のほぼ全ての低価格3Dプリンターに取り付けられる点。

Discov3ry押出機を開発するStructure3Dは、「プリンタがプラスチックフィラメントを使用している場合、それはほぼ確実にDiscov3ryと互換性があります」と語っている。

また使える素材も汎用性が極めて高く、ペースト化されたものであればあらゆる素材が利用できる。

ポリウレタン、粘土、セラミック、導電性塗料、ラテックス、シリコン、木材充填剤などに始まり、なんと食品であるアイシングシュガーや、ピーナッツバター、ヌテラ(チョコ風味の塗り物)などで使用できるという。

下記は実際に低価格なFDM3Dプリンターに取り付けて液体化したシリコンなどを使って物を作る動画や、チョコレートペーストのヌテラでプリントする動画だ。

Discov3ry動画

シリコンのプリント動画

チョコレート風味のヌテラでプリントする動画

ポリウレタンのプリント動画

ポリウレタン

シリコン

ラテックス

セラミック

たった2ステップで既存の3Dプリンターにかんたんに取り付け可能

ほぼすべてのFDMタイプの3Dプリンターと互換性がある

食品用に食品安全ルアーロックも装備

このDiscov3ry 押出機は1台あたり249ドル、約2万5000円から利用できる。出荷は今年の9月から来年の1月にかけて行なわれる見通しだ。ちなみに精度やスピードは、材料の供給部分を付け替えるだけなので、既存の3Dプリンターに依存するとのこと。

まとめ ‐低価格3Dプリンター普及を加速させる可能性-

このようなペースト化された素材を使うことのメリットはどのような点があげられるのだろうか。

第一にいまでもなく、作れる物の幅を拡大してくれることがあげられる。特にシリコンなどは我々の日常生活においてもさまざまなものに使用されており、汎用性が高い素材のひとつだ。ペースト状であれば、食品さえもプリントできてしまうとのことだ。

次に第二のメリットだが、それは圧倒的なコストダウンをもたらすことだ。

現在市場に流通しているFDM対応のフィラメントはだいたい、1個30ドル、3,000円程度、高い特殊フィラメントだと5,000円ちかい金額がするため、結構な費用がかかってしまう。

しかしペースト化された材料であれば遥かに安い価格で利用できるはずだ。このペースト材料は、同時に発売を計画しているとのことで、キックスターターキャンペーンとStructure3Dのサイト上で利用が可能になる。

今後3Dプリンターで使用できる材料はさまざまなタイプのものが登場するだろうが、こういう画期的な方法で市場参入するケースは珍しい。

なぜならば、3Dプリンターの性能が向上したとしてもFDMという製法を採用している限り、このシステムは使用され続けるからだ。

むしろ3Dプリンターの性能が向上すればするほど、様々な材料に対応させるDiscov3ry 押出機は重宝されるのではないだろうか。今後の製品化と出荷状況に期待したい。

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