オーダーメイド眼鏡を3Dプリンターで完全カスタマイズ。「Yuniku」

By | 2016年10月13日
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オーダーメイド眼鏡の3Dプリントカスタマイズの動きが登場

マスカスタマイゼーションの波は、着実に浸透してきている。とりわけ医療の分野においては顕著だ。補聴器やインプラント、インソールなど、人間の体にフィットさせて使用する医療用製品では、3Dプリントと3Dスキャニングの技術が大いに力を発揮している。

人間の体は千差万別で、双子でもない限り、同じ体系、同じ顔かたちの人はいない。3Dプリントと3Dスキャニングは、その人により正確にフィットし、より快適に過ごせるカスタムメイドツールを作り出すこれからの時代の必須技術といえる。3Dプリンターに関していえば、従来はプロトタイプを製造する用途がメインであったが、素材と精度、生産性が向上してきていることから、最終品のデジタル直接製造マシーンとして機能しつつある。

そうした技術的な進歩から、マスカスタマイゼーションの波は、人間の体にフィットさせて使用するプロダクトにも波及してきている。すでにイヤホンなどの分野では個人個人の耳の形状に合わせたカスタム3Dプリントイヤホンが登場してきているが、今回あらに眼鏡のカスタム3Dプリントが登場した。

本日は顔面スキャンと3Dプリントで作るHOYAとマテリアライズの完全オーダーメイド眼鏡についてご紹介しよう。

オーダーメイド眼鏡 3Dプリンター カスタマイズ

一人一人の視力、顔の形に合わせて眼鏡を完全オーダーメイドにカスタマイズ。

世界初のオーダーメイド眼鏡製造用プラットフォーム「Yuniku (ユニーク)by HOYA」

HOYAとマテリアライズは以前も視力測定用のVR「HOYAアイ・ジーニアス」と 「HOYAビジョン・シュミレーター」で眼鏡製造の新たな可能性に取り組んでいる。

前回はエンドユーザーが眼鏡を作る前にVRで、HOYA製レンズを購入前にレンズの見え方の仮想体験ができるサービスで、その際のVRのフィット部分を3Dプリンターで個別にカスタマイズするというサービスであった。

しかし今回は、顔面の3Dスキャニングと3Dプリンターで、エンドユーザーに完全にカスタムフィットした最適なオーダーメイド眼鏡をダイレクト製造するというもの。

この世界初のオーダーメイド眼鏡製造用プラットフォーム「Yuniku (ユニーク)by HOYA」は、一人ひとりの顔形にあったフレームと、視力に対応したレンズ、その人に最適化されたフレームの位置など、眼鏡の形状を完全カスタマイズし、着用時の快適性を究極まで提供した製造システムだといえる。

現在この「Yuniku」は“眼鏡界のアカデミー賞”とも言われる「Silmo D’Or(シルモドール)2016」の機器部門にノミネートされている。

オーダーメイド眼鏡 3Dプリンター カスタマイズ

マテリアライズとHOYAによる3Dカスタマイズ眼鏡。千差万別の人の形、視力に3D技術でカスタマイズする。

専用3Dスキャナーと3Dソフトを開発。完璧なフィットを目指す

これまでも、その人個人にあったオーダーメイド眼鏡は存在したが、この3Dスキャンと3Dプリントによる眼鏡のオーダーメイド製造は何が異なるのだろうか。これまでのカスタムオーダー眼鏡は人の手によるもので、顔と眼鏡の位置(顔の幅や、目の位置、耳の位置と耳までの長さ、瞳孔間距離など)の測定も器具を使って人が行い計測していた。

しかし、今回の「Yuniku (ユニーク)by HOYA」では、専用の顔面3Dスキャナーと専用3Dソフトを開発し、従来の人の手による測定方法では実現することが出来なかった完璧なカスタムフィットを実現している。具体的な眼鏡製造までのステップは下記のとおりだ。

オーダーメイド眼鏡 3Dプリンター カスタマイズ

1本1本完全にジャストフィットする性能を3Dスキャニングと3Dプリントで実現。

オーダーメイド眼鏡 3Dプリンター カスタマイズ

レンズにあったフレーム形状をソフトウェアで完全微調整。

「Yuniku (ユニーク)by HOYA」のオーダーメイド眼鏡が出来るまで

このYunikuの仕組みはユーザーが各眼鏡店を訪問した際に、手順に従ってカスタムフィットのサービスを受けることが出来る。眼鏡店に行って測定するという手法は従来のオーダーメイド眼鏡の手法と同じだが、Yunikuの場合には完全デジタルでの対応になり、寸分の誤差なくその人にジャストフィットすることが出来る。

  1. ユーザーが自分の好みのフレームを選択
  2. 顔の3Dスキャン撮影を行う。鼻の形状、耳の位置など、眼鏡のフィット感に影響する全ての情報を3Dスキャナーで収集し、ユーザーの顔の完全な3Dモデルを生成する。
  3. 用途と機能をヒアリング。仕事用、屋内用、あるいはスポーツ用、運転用などその眼鏡に求める性能や、ライフスタイルに応じた用途をヒアリングし、それによって眼鏡を最適化する。
  4. HOYA製ソフトウェアが計測した顔の形状と、視力情報をベースに最適なレンズの位置を決定する。
  5. マテリアライズ製ソフトウェアがレンズの位置を保ったまま、指定の眼鏡フレームのデザインをユーザーごとの顔に合わせて自動調整。
  6. ディスプレイで眼鏡技師と眼鏡着用時の外見シミュレーションを確認。色やフレームの形状を微調整することも可能。
  7. カスタマイズされた眼鏡フレームは3Dプリンターで製造。レンズとアッセンブルされ納品される。

ちなみに、眼鏡フレームを作る3Dプリンターと素材は、レーザー焼結法とナイロンポリアミド12で、耐久性が高く眼鏡フレームとして扱えるには最適な素材といえる。また現在はナイロンポリアミド12だが、将来的に対応素材を増やしていくとのことで、チタン素材なども対応可能になる可能性がある。

ちなみにレーザー焼結法はパウダー状の粉末素材で造形するため、仕上がり後のざらざら感がのこってしまうが、このマテリアライズとHOYAの3Dプリント眼鏡では、肌に触れても安全なMaterialise Luxuraと呼ばれる特別な製法で仕上がりを行うため、レーザー焼結法独得のざらざら感をなくし、非常に滑らかな表面仕上げが可能となる。

ちなみに、Materialise Luxuraとは、下記の動画で示したようにレーザー焼結後の物体をタンブラー式研磨機に入れて仕上げを行う手法だ。

マテリアライズ レーザー焼結法 Materialise Luxura

ナイロンパウダーとレーザー焼結法による眼鏡フレームのカスタマイズ。

マテリアライズ レーザー焼結法 Materialise Luxura

マテリアライズ独自のレーザー焼結法後の後処理Materialise Luxuraで、ざらざら感をなくし滑らかな仕上がりを実現。

後処理Materialise Luxuraの研磨の動画

フレームの3Dカスタマイズが完璧なカスタムフィットをもたらす

今回の眼鏡の3Dプリントカスタマイズは、それぞれ3社が専門性を発揮しこのサービスを構築している。眼鏡レンズの調整にはHOYAビジョンケアが、マテリアライズは3Dソフトと3Dプリントの分野を、そして眼鏡フレームのデザインはフート・デザインスタジオが手掛けている。

特にHOYAビジョンケアによるレンズの自動設計と、マテリアライズによるフレームの自動設計により、従来の眼鏡デザイン方法では実現できなかった完全な調整機能を実現している。従来の眼鏡デザイン方法では、ユーザーが選択したフレームによってレンズの位置がある程度固定されてしまうことから、完璧なカスタムフィットとはいいがたかった。

しかし、「Yuniku (ユニーク)by HOYA」では、先のステップでもご紹介した通り、HOYAビジョンケアの調整したレンズに合わせて、マテリアライズの3Dソフトがフレームもカスタマイズしてくれるため、レンズの視力調整機能が最大限活かされ、文字通りその人だけの完璧なカスタマイズが実現される。

「Yuniku (ユニーク)by HOYA」動画

オープンプラットフォームとして眼鏡のデザインを利用可能

また、この「Yuniku (ユニーク)by HOYA」は、オープンプラットフォームとして機能することになる。随時、その他の眼鏡ブランドも加わり、デザインも追加されることになり、あらゆる眼鏡の3Dカスタマイズが実現できるようになる。例えば、将来的には、遠近両用や単焦点、室内専用など、あらゆる種類のレンズに対応したデザインも加わる予定で、自由にフレームと高品質レンズの組み合わせができるようになる。

オーダーメイド眼鏡 3Dプリンター カスタマイズ

オープンプラットフォームとして眼鏡のデザインが格納される仕組み。

まとめ マスカスタマイゼーションの真価が発揮される取り組み

マテリアライズは3Dソフトと3Dプリントの分野で25年以上にわたる実績を持つ企業だ。すでに、補聴器の分野においては、今回の「Yuniku (ユニーク)by HOYA」のような3Dカスタマイズの仕組みを機能させている。

補聴器は冒頭でも触れたが、耳にはめて装着する医療器具だが、耳の形状は人によって千差万別だ。もともと補聴器のカスタム製造も型をとって行っていたが、マテリアライズが補聴器専用の3Dプリントソフトウェアを開発するにおよび、3Dプリンターでの製造は、現在ほぼ100%に到達している。

これは3Dプリント専用ソフトウェアが開発されてからわずか2年間に起きたことで、2年前はわずか20%の割合に過ぎなかった。おそらく、これと同じことが、近い将来、オーダーメイド眼鏡にも起こるだろう。

現在マスカスタマイゼーションの流れは、着実に浸透してきているが、本当の意味でカスタマイズが求められるのは、プロダクトそのものの機能性が最大限生かされる分野だろう。

例えば、製品の装飾的な部分のカスタマイズは、本当の意味でのカスタマイズというよりはデコレーションに近い。真のカスタマイズとは、そのカスタマイズによって、製品の機能が最大限発揮され、そしてそれを使用するユーザーがこれまでにない機能性と快適性を実感できるものに他ならないのだ。

今回のオーダーメイド眼鏡の3Dプリント製造は、まさにカスタマイズが最も効果的に発揮される取り組みだ。

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