導電性インクペンとオートデスク123D回路は電子回路のモノづくりを促進

成長する個人のモノづくり市場

DIY市場と同様、個人のものづくり市場が勃興しつつある。メイカーブームという言葉に象徴される個人のものづくりは、なぜこれほど盛り上がりを見せているのだろうか。その根本にはモノのデジタル化、オープンソース化の流れが大きく影響していると思われる。それは大きく分類して二つの分野に分かれると言える。

一つは3Dプリンターに代表されるデジタルデータから物体を作り出す技術。特許切れとオープンソース化により、低価格で質の高い3Dプリンターが急速に増え続けている。こちらは次なる産業革命と言われるほど注目を集め、製造業だけではなく多くの業界に影響を与える技術だ。

極端な表現を使えば、マウスをクリックすれば物体が出てくるという3Dプリンターの特性が、多くの人々に理解されやすいため、個人のモノづくりへの参入を加速させていると見て取れる。

電子回路の分野も広がりを見せる

もう一つの分野は現代の電化製品に欠かすことができない電子回路とデジタルの連動、すなわちハードとソフトの連動があげられる。こちらはArduinoという、ハードとソフトを連動するための基板の存在が大きい。

このArduinoもオープンソースであることから、一気に広がりを見せ、誰でも既に設計された物を利用することが可能だ。もともとは電子機器のプロトタイプを作るところからスタートしているこの技術は、これからの電化製品の開発には必須の技術にまでなっている。

最近のウェアラブルデバイス、スマートデバイスの普及を見れば一目瞭然だろう。こうした3DプリンターとArduinoという二つの技術は、オープンソースという特性により、多くの人々をモノづくり、製品開発の分野に呼びこんでいる。

こうした流れを受け3Dプリンターでは既に多くの3Dデータが無料有料問わず出回っているが、電子回路の設計もかなりの広がりを見せてきている。本日ご紹介するオートデスクの123D回路と導電性インクペンもその代表的な存在ともいえるだろう。3Dプリントが広がりを見せる陰で、モノに命を吹き込む回路設計が密かな広がりをご紹介。

オートデスクの123D回路の動画 自由に回路設計ができる

導電性インクペンと回路設計コミュニティの組み合わせ

123D回路は、3DCADソフトのオートデスクが提供する電子回路設計のオンラインコミュニティだ。オンライン上でArduinoをシミュレートし、簡単にカスタム回路基板を作成することができる。

また回路設計をシミュレートするだけではなく、その回路に必要な電子基板やモジュールをそのままサイト上から購入することもできる。本日ご紹介する導電性インクペン、サーキットスクリーブはそんな123D回路上でちょっとした注目を集めている革新的なアイテムだ。

通常、電子回路を設計した後、基板上におとしこむためには、銅線や無数の電子部品が必要になる。しかし、このサーキットスクリーブは銅線などを引くことなく、イラスト感覚で回路を引くことができるペンだ。この電子回路を引けるペンサーキットスクリーブは今年の頭にキックスターターで資金調達に成功し、今では123D回路で販売もされているほどのキットだ。下記の動画では紙に様々な回路を描くことで電気がつくことを表現している。

導電性インクペン サーキットスクリーブ動画

紙が電子基板のかわりになる

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Arduinoなどの電子プラットフォームと連動もできる

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様々なキットと連動も可能

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ベーシックなライトキットはオートデスク123D回路で25ドルから販売

その他の組み立てキットも

 動作確認の試作や教育に最適なキット

このサーキットスクリーブは、誰でも手軽に電子回路の設計を楽しむことができるのが最大の特長だ。一般的に回路設計というとややこしく複雑なイメージが付きまとうが、サーキットスクリーブを使えば子供でも回路設計を遊び感覚で行うことが可能だ。

何よりも紙に描いて遊べることから、様々な楽しみ方もできそうだ。通常電子回路というと板状の基板でなければならないが、紙が回路代わりになれば柔軟性を持たせられるため、いろんな工作を試すことができる。

もちろん子供以外も利用することは可能で、回路図の確認や試作にはもってこいのアイテムだ。123D回路で設計した電子回路を実際に試したい場合でもこの導電性インクのペンを使うことでコストをかけることなく試すことができる。

サーキットスクリーブの特長

  • 電子回路の教育に最適
  • 低コストで高品質なエレクトロニクスが構築可能
  • インク状なためフレキシブルなエレクトロニクスを作れる
  • オープンソースハードウェアと連動

自由に紙に回路を描ける

まとめ

3Dプリンターの力を最も示した事例として、拳銃の3Dプリントがあげられるだろう。不謹慎ながらあの事件によって、広く3Dプリンターの力が認識されたと言っても過言ではない。

製造業に親しみが無い多くの人々にとって、技術的な細かい話よりも、データがあればモノが作れるという事実の方が実感があり、価値を認識してもらうのに手っ取り早いと言える。そうした意味から言うと、この導電性インクのペン、サーキットスクリーブは、電子回路の面白さや可能性を、より多くの人に知ってもらう大きな役割を果たしているのではないだろうか。

基板や電子部品などよりもはるかにわかりやすいし手軽さが感じられる。ちなみに導電性インクよりは銅、銅よりは金などの方がはるかに導電性は高いため実際の電化製品に使用する場合はあまり使用しない方がいいだろう。

実際の基板で電子回路を作る場合には回路と電子部品を接合する接合精度がきわめて重要になるためだ。使用するはんだはんだ付けが最も適切に構成されていなければその製品は故障する可能性が高くなるし、不良を発生する原因ともなる。

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