中国の人件費高騰
2010年にGDP世界2位となり著しい経済成長を続ける中国。
21世紀の世界の工場と言われ安価な労働力とスピーディな生産能力を持つことで、先進国の製造業の生産基地としての役割を担ってきている。
日本でも各社大手メーカーが中国に工場を構え、日本の産業空洞化の一因にもなっているが、その一方で経済発展に伴い人件費は年々上昇。
ここ10年間で賃金は約3倍まで上昇した。そんな中、生産工場をより安価な人件費を求めて他の東南アジア諸国に移す動きや、アメリカのように自国での製造体制に切り替える動きも出てきている。
中国の3Dプリント
欧米企業の自国製造業への回帰
特にアメリカの代表的な多国籍企業GEは自国での製造への回帰を打ち出し、フォードやワールプールといったそのほかの巨大メーカーたちも自国生産への回帰に積極的だ。
アメリカのメーカーが自国製造への回帰の切り札としてとらえているのが3Dプリンターだ。
3Dプリント技術の発達によって、従来の加工生産に比べてはるかに安く、短い時間で、人件費もかけることなくパーツ製造ができるようになりつつある。
また極端な話、データさえあれば、より低価格な他国の工場でパーツ生産をする必要もなくなり、必要な分量を生産するだけで事足りるような仕組みになるのだ。
データをクラウド上で共有するだけで、部品を製造して輸送するコストが削減することができる。
アメリカをはじめ欧米の先進諸国では、こうした3Dプリント技術のもつメリットを最大限生かそうという試みが行われており、まさに政府、企業、研究機関が一体となって3Dプリント技術の研究開発と実地での運用体制の拡充に努めている状況だ。
こうした3Dプリント技術とIT技術の二つの最先端技術が製造プロセスと国際的なサプライチェーンに大きな変革をもたらすことは明らかで、人件費を気にすることなく、より効率的な生産体制がとることが可能になる。
例えばスポーツ用品メーカーのプーマも高騰するアジア地域の人件費の問題に苦しめられてきているが、更なる安い人件費を求めた海外移転ではなく、3Dプリント技術とIT技術における効率的な生産体制をとることを選択している。
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まとめ -3Dプリント技術で生産体制変革を図る中国-
こうした生産体制の自国回帰と効率化は今まで、安い人件費とスピーディな生産体制が売りで行ってきた中国にとっても多大な影響を与えることは言うまでもない。
21世紀の世界の工場としての役割を保つために、中国においても3Dプリント技術の研究開発が行われている。
一例では最近中国は自動車のフレームがプリント可能な世界最大規模の3Dプリンターを開発した。この世界一の大きさを誇る3Dプリンターは人工衛星、ロケット、原子力に使用される部品を含むチタン合金のプリントが可能なタイプだ。
また、2016年には3Dプリント市場はアメリカを抜き世界最大になると言われており、中国の3Dプリント技術の推進機関である中国3Dプリント技術産業連盟がベルギーの世界的3Dプリントサービスを行う企業マテリアライズ社と提携を行い、迫りくるデジタル化とIT化の影響に備えている。
このように単なる安さと速さのみは製造体制としての武器としては通用しなくなっていることも中国は自国の課題として十分認識しており、独自の体制を構築していくことになるのだろう。
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