炭素繊維強化ナイロンの3Dプリンター用フィラメント材料NylonX

By | 2016年10月19日
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強化3Dプリンター用フィラメント材料の開発

デスクトップタイプの3Dプリンターで圧倒的主流を占めるFDM(熱溶解積層法)の3Dプリンター。着実に性能が進化しつつあるが、同時に材料であるフィラメント材料もさまざまなモノが登場してきている。

数年前にはABS樹脂PLA樹脂の二種類しか存在しなかったが、あらゆる種類の熱可塑性樹脂が登場している。また、従来金型で使用されていた熱可塑性樹脂だけではなく、強化素材を配合した高性能フィラメント材料も登場している。例えば、以前もご紹介したMarkForgedは、ナイロン素材をベースに炭素繊維を配合した独自素材を開発した。

ナイロンポリアミドは、強度と靭性に優れる素材で、高機能なプラスチックパーツを作るのに適したプラスチック素材だ。一方、炭素繊維はカーボンファイバーの名前で知られる高強度繊維で、軽量ながらも高い強度を誇る素材として、あらゆる業界から注目が集まっている。

この二つの素材をかけあわせたフィラメント素材があれば、強度、耐久性、靭性などに優れたパーツをオンデマンドで作ることが可能だが、そのためには専用のMarkforgedが必要である。そのような中、新たに汎用性のあるフィラメント素材として、炭素繊維強化ナイロンの3Dプリンター用材料が登場した。本日は新たに登場したNylonX 3Dプリンター用フィラメントをご紹介しよう。

炭素繊維強化ナイロン 3Dプリンター用フィラメント材料

炭素繊維を20%配合し、強度と耐久性を併せ持つ性能を実現

今回登場した炭素繊維強化3Dプリンター用フィラメントNylonXは、ナイロンポリアミド素材をベースに細切れにされた炭素繊維が練りこまれている。ナイロンポリアミドが持つ優れた靭性と耐久性に加えて、剛性、耐衝撃性、耐摩耗性、引張強度が大幅に強化されている。

このNylonXを開発したのはカリフォルニアベースのオンラインコミュニティ企業MatterHackers。3Dプリンターや3Dプリンター用材料の販売を行っている。このNylonXは、一般的なPLA樹脂が扱えるデスクトップタイプの3Dプリンターで扱えて、エンジニアリングレベルのパーツを作り出すことが出来る。

炭素繊維の配合量は、フィラメント材料全体の20%にも及んでおり、完璧にナイロンポリアミドとブレンドされている。それにより、強度と耐久性を併せ持った造形物は、完璧にCNC加工によるアルミニウムパーツの代替品として機能できるという。

炭素繊維強化ナイロン3Dプリンター用フィラメント材料NylonX動画

炭素繊維強化ナイロン 3Dプリンター用フィラメント材料

高強度、耐衝撃性に優れるNylonX 3Dプリンター用フィラメント材料。

ナイロンの弱点を克服。安定した3Dプリントを実現

NylonXは、炭素繊維をナイロンに配合することで、高強度、高耐久を実現しているだけではない。これによってナイロン本来が持つ弱点を克服することに成功しているのだ。ナイロンは優れた靭性を持つ一方で、剛性はそこまで高くはない。

また高い吸湿性によって大気から水分を吸収しやすいため熱による収縮率も比較的高いのが難点。造形時における反りや変形も大きくなりやすく注意が必要であった。しかし、NylonXは、炭素繊維を配合することで、ナイロンが持つ弱点、剛性、吸湿性、熱収縮を克服することに成功している。これによってデスクトップタイプの3Dプリンターで安定したプリントを可能にしてくれる。

炭素繊維強化ナイロン 3Dプリンター用フィラメント材料

ナイロンの弱点、吸湿性と熱収縮性を炭素繊維配合で克服。

NylonXの3Dプリント時の推奨設定

  • 押出ノズル温度:250℃から265℃
  • プリントベッド温度:PVAスティックのりで60〜65℃
  • 印刷速度:特になし。10mm~80mm/秒。3Dプリンターのノズルサイズ、温度、積層ピッチに応じて
  • 乾燥:プリント前に82℃から93℃の温度でオーブンで6時間から8時間乾燥させるとベスト(ナイロンフィラメントの使い方)。乾燥後は乾燥剤とともに密封容器で保管
  • 押出ノズル:ステンレス製か固いノズルが必要。炭素繊維は非常に硬いため摩耗する可能性がある
  • 冷却:ファンによる冷却は非推奨

剛性と耐衝撃性にも優れるテスト実験

それでは実際、炭素繊維強化ナイロンのフィラメント材料NylonXで作られたものはどの程度強力なのだろうか。下記はNylonXと、PLA樹脂、高強度ポリエチレンテレフタレート(PETG)、通常のナイロンなどと比較した画像と動画だが、NylonXは剛性と靭性を併せ持っていることから、固くて柔軟な特性を持つ。

例えばPLAの場合は硬くてももろくなる。一方、ABS樹脂や高強度ポリエチレンテレフタレート(PETG)の場合は耐衝撃性に優れるも炭素繊維よりはもろい。こうした現在の主流となる既存の素材に比べて、炭素繊維で強化されたナイロン素材であるNylonXは、剛性と耐衝撃性両方を併せ持つ素材だといえる。

剛性と靭性などを示した動画

NylonXの実験

PLAの場合

PLAの場合

高強度ポリエチレンテレフタレート(PETG)の場合

高強度ポリエチレンテレフタレート(PETG)の場合

まとめ さらに開発が進む3Dプリンター用フィラメント材料

3Dプリンター用フィラメント材料は、デスクトップ3Dプリンターの普及拡大に伴って続々と登場してきている。今回ご紹介した炭素繊維で強化されたナイロンのように、印刷精度が安定し、さらには強度や耐久性が強化されたフィラメント材料も着々と増えてきている。こうした3Dプリンター用材料の普及が進むことで、さらにデスクトップタイプの3Dプリンターの価値も高まるだろう。

従来のABSやPLAのみでは限界があった造形物の精度が、新たな素材によりさらに高めてくれるからだ。今後も3Dプリンター用フィラメント材料の開発にさらに注目していきたい。

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