BMWは太陽光で充電可能な3DプリントコンセプトカーMaasaicaを発表

広がる自動車の3Dプリント製造

ローカルモーターズが3Dプリンターで作れる電気自動車の発表をおこなってから、3ヶ月近くが経過した。

アメリカの最先端技術の研究機関オークリッジ研究所と取り組むこの挑戦は、着々と進んでいるようだ。

既に車体フレームは巨大3Dプリンターで製造し、テストドライブまで行っている。ローカルモーターズは自動車メーカーではなく、クラウド上のエンジニアやデザイナーの集合体だが、こうした自動車の3Dプリント製造は既存の自動車メーカーでも盛んになりそうだ。

新たに3Dプリントで作る自動車の発表を行ったのはドイツの有名メーカーBMWだ。BMWはメルセデスベンツやアウディとともに日本でもおなじみの高級外車メーカー。今回発表されたのは、まさに未来の自動車を思わせる3Dプリントコンセプトカーだ。

ローカルモーターズの記事はこちらをご参照ください。

今回あらたに発表されたBMWの3DプリントコンセプトカーはスウェーデンのデザイナーERIK MELLDFAHLが手掛けるものでMaasaicaという車名がついている。

Maasaicaとは、ラテン語を語源とし、「ケニアのライオン」という意味だ。未来の持続可能なエネルギー、アフリカの太陽というコンセプトのもと、10年先、20年先の実用化を目指すとのことだ。

車体は完全に組み立て式となっており、3Dプリンターで製造することが可能だ。3Dプリンターが乗り物、いわば自動車や飛行機などのパーツ製造に期待されている理由の一つとして、車体の軽量化がある。

このMaasaicaも3Dプリンターを使ってパーツを作ることで軽量化されるうえに、耐久性も強固になるという期待がある。また、このMaasaicaには他の自動車とは明らかに異なる機能を備えている点でも異才を放っていると言っていい。

車体を構成するボディフレームが太陽光発電パネルになっており、日中は電気を蓄電し、車体の燃料として使うことが可能なのだ。

アフリカの大地、持続可能なエネルギー太陽光がコンセプト

スウェーデンのデザイナーERIK MELLDFAHLさん

ボディは太陽光で蓄電できる3Dプリント製造を目指す

また、このMaasaicaの画期的な点は、車本体以外の点でもこれまでの自動車製造を変えるものだ。

設計デザイナーのERIK氏とBMWが発表しているところでは、製造をローカルに回帰させることを目指すという。3Dプリント技術は設計データに基盤を置いているため、3Dプリンターがあればどこでも作ることができる。

そのため、わざわざ安価な人件費を求めて海外に生産拠点を求めることもないし、地方でも十分製造可能だ。

BMWは今後数十年にわたってすべての商品（自動車以外の電子機器や家具、日用品、食品に至るまで）がローカル製造になるだろうとの予測を立てており、自社で設計・製造を手掛ける未来の3Dプリントカーも地方製造体制に切り替えることを目指している。

BMWの今回の3Dコンセプトカーの発表は、今から26年後、2040年度の完成を目指すというものだ。全く想像もできない世界だが、そのころには一般家庭の半数には3Dプリンターが配備されているとも言われている。

また、そのころには、デジタル化が今よりもはるかに進み、はるかにエコでクリーンエネルギーな世界になっているだろう。BMWはそうした将来を見据え、今後の企業としての在り方、自動車産業としての在り方を今回のコンセプトカーで示している。

今の多くの発展途上国が発達し、先進国と同じようにガソリン燃料による自動車を持つ世界では、相当なCO2排出量が見込まれ、全世界にとって良くないことになる。

しかし3Dプリント技術が普及すれば、既存の物流で賄えるものが大幅に減少し、燃料排出もはるかに低下するだろう。また、車両や航空機等がさらに軽量化され、電気で動くようになればさらにCO2排出は低下する。

まさに3Dプリント技術はエコ技術といっても過言ではないだろう。またその一方で、都市部への一極集中が進む現代の経済体制も大きな変革を強いられるだろう。

データでやり取りすることで地方都市の利用価値が再度出てくることになるし、独自の経済政策をとることが可能になる。そうしたことからするとBMWの3Dプリントコンセプトカーは、まさに地方分権、クリーン社会の到来を予感させるコンセプトカーだ。

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