3Dsystemsは3Dプリンターと新材料でラインナップを大幅強化

3Dsystemsの新機種と新材料

11月25日からドイツで世界最大の3Dプリント展示会ユーロモールドが開催される。個々では3Dプリンターメーカーをはじめ、製造に3Dプリント技術を導入する多くのメーカーが登場するが、2015年度モデルともいえる新型機種の公開に期待が高まっている。

ユーロモールド前に3Dプリンターメーカーとしてトップを走るストラタシスは、既に10種の新機種の発表を行っているがもう一方の雄、3Dsystemsはその詳細を開示していない。

2013年以降、多くの企業買収や、異業種とのコラボレーション(とりわけGoogleとの高速大量生産を可能にするシステムは斬新であった)を打ち出してきた3Dsystemsだが、ユーロモールド開始前に、展示内容の一部を発表している。本日は3Dsystemsの新たなラインナップの概要をご紹介。

航空宇宙・自動車・医療・小売向けにラインナップを強化

この3Dsystemsの発表に際し、同社CEOのアビ氏が述べているのは、特に、航空宇宙、自動車、パーソナライズされたヘルスケア商品の分野において、最終製品のパーツにも使用できる高性能生産を可能にするモデルの発表とのことだ。3Dsystemsはかねてから3Dプリント2.0という3Dプリント技術を使った新たな設計ソリューションを展開しているが、今回の発表により、産業用に対応することができる高性能な仕上がりと、製品開発をより高速化する機種になるとしている。

工場でも使える最高品質の金属パーツの3Dプリンター

第一は、金属用3Dプリンターの新モデルだ。工場の金属生産にも対応することができ、なおかつ最大の大きさの金属部品を製造できる機種になる。3Dsystemsは金属用のラインナップとしてProx TM Direct Metal Printingシリーズを持っているが、大容量の産業用アプリケーションの高い要求に対応した、高品質、完全な金属部品を作れる機種を加える。3Dsystemsによれば「クラス最高の精度と表面品質を備えてる」とのことだ。

自動車、航空宇宙、医療機器に対応した高性能SLAプリンターPROX800

次に3Dsystemsが発表しているのは光造形(SLA )モデルの次世代機の発表だ。

新たに登場するSLA3Dプリンター、PROX 800は業界をリードする光造形の機種として、自動車、航空宇宙、医療機器製造に最適になる。ちなみに光造形は熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂アクリル樹脂をベースにした紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射し硬化させる技術。

最近ではポリウレタンなどのゴムライク材料も登場してきている。例えば、デスクトップタイプではFormlabs社のForm2がSLAタイプの光造形3Dプリンターとして人気を集めている。 

レーザー焼結プリンターのニューモデルPROX500+

3Dsystemsは、レーザー焼結法の3Dプリンターもグレードアップして提供する。既に4機種もっているが、中でも高性能なPROX500のバージョンアップモデルを発表する。PROX500は、射出成形並みの優れた部品品質と、精度と耐久性を持っているが、今回の+では、プリントスピードと解像度がより高めた機種になるとのこと。また同時に、新しいガラス充填、アルミ充填およびナイロン材料が追加される。

SLA3DプリンターProjet1200用の5種の新素材

マイクロSLAプリンターとして、精密鋳造用のワックスモデルの製造に使用されるProjet1200用に5つの新素材を発表した。デンタルラボや、宝石店、メーカー、エンジニア、3Dアーティストのために最適な材料になる。

マルチマテリアルProjet5500Xの材料追加

3Dsystemsは、マルチマテリアルの3DプリンターProjet 5500Xに新たな新素材を追加している。黒と半透明で柔軟性のあるエラストマーと、白と透明のABS樹脂を追加。これによりProjet 5500Xは、14種のユニークな素材を使用することができる。

小型精密パーツ用のスキャンシステム

小型精密部品専用のスキャナーを提供。小さな機械部品や、宝石、歯科モデルのための完璧な3Dスキャンをリリースする。

デジタル製造を容易にするクラウドシステムの提供

設計から製造までのデジタルスレッドをシームレスにして、デザインから製造までデジタルスレッドを管理できる、クラウドシステムを提供する。このデスクトップベースのアプリはどこでもアクセスできてデジタル製造の管理を簡単にしてくれる。

小売店やイベントブース向けの3D体験キット3DMe

最後に発表するのは、小売店やイベント会場向けの3Dプリント体験キット3DMe ®だ。これは3Dスキャンと3Dプリントを簡易的に体験できるものになるらしい。3Dsystemsは靴メーカーのユナイテッドヌードの店頭でカスタマイズサービスのイベントなどを行ったが、それに似たようなものかもしれない。

まとめ

3Dsystemsの今回のリリースでは工業用のハイエンドモデルの強化が中心になっている。プリント精度の強化や印刷スピードの高速化など、さらに製造現場に3Dプリント技術を浸透させるものだ。今回の発表では製造に関する動画や完成されたパーツ類は公開されておらず、概要にとどまるものだが、今後の実物公開が気になるところだ。

i-MKAERでは光造形3DプリンターForm3+やレーザー焼結3DプリンターFuse 1Raise3Dシリーズなど多彩な3Dプリンターのノウハウ、販売をご提供しています。ご質問や無料サンプルや無料テストプリントなどお気軽にご相談ください。