3Dプリンターが引き起こす4つのビジネスフィールド

3Dプリンターは20年近く前から存在していた。特に製造の場においては金型を製造して大量生産に落とし込む前の試作品の製造として利用されてきていた。しかし3Dプリンター自体の品質の向上や低価格化が今何をもたらしているのだろうか?特にここ数か月において日本だけではなく世界中で3Dプリンターに注目が集まっている。メディアの報道においても猫も杓子も3Dプリンターという状態だ。まるで魔法の箱のように報道され、従来製造業に関わってきている人とは違い、全く知らない人たちにとって、3Dプリンターがあれば何でも製造できるような印象を受けているのではないだろうか。

本日は2013年5月に出版された「3D Printing: The Next Industrial Revolution -」の著者Christopher Barnatt准教授の3Dプリンターが影響を及ぼす4つのビジネスフィールドについてご紹介。

プロダクトデザインをどう変えるか?

今日は多くの製造業たちが製品の試作品を製造するのに3Dプリンターを使用している。試作品製造のための3Dプリンターの使用は、プロダクトデザインに関わる製造業、デザイン事務所などに導入されており、プロダクトデザインをより速く改善、改良することを可能にしている。

すなわち、デスクトップタイプの3Dプリンターのクオリティがある程度安定し価格が低下してきたためである。例えば数年前までは産業用造形の3Dプリンターは少なくとも約1000万円程度の価格がしていたが、現在では約30万円程度で販売されている。

また、企業の営業やマーケティング部の担当者たちが、新製品の試作品を使用したいと思えば、デスクトップタイプの3Dプリンターが導入された製造部やプロダクトデザイン事務所で試作品を簡単につくることができる。

伝統的な生産プロセスを変化させるのか?

多くの伝統的な製造業のプロセスは、コストと時間がかかり工場に機械設備が必要である。例えば砂型鋳造を使用して金属部品を製造する場合には、砂梱包されて作成される鋳型を必要とする。その後鋳型砂から削除し、溶融された金属はその後急速に冷却して固体に注入される。

しかし、今日では3Dプリンターによって鋳型がなくても砂型鋳造を可能にすることができます。3Dプリンターのパイオニアの一つである、ExOneとVoxeljetは鋳型のない砂型鋳造を可能にしています。これは製造者にとって従来のプロセスを用いて金属を製造するのに比べて、多くの時間とコストを減少させることを意味しています。

例えば、ExOneが発表しているケーススタディ(英文)によると、米国海軍潜水艦戦センター(NUWC)はリバースエンジニアリング交換潜水艦コンプレッサーポンプ鋳造のためにかかった時間とコストが以下のように減少されたと報告している。リードタイムは51週間かかっていたのが、8週間まで減らすことができ、1ポンプあたりのコストは29,562ドルから18,200ドルまで下げることができたと。

デジタル製造が生まれる?

3Dプリントはデータから直接プリントして最終製品や部品を製造することができる。こうした特性によってデジタル製造・販売を行うビジネスが出てきている。その最たるものがShapewaysです。また、Nervous Systemは細胞から宝石の3Dプリント販売を行っています。これらのサービスはウェブサイト上で顧客が独自のカスタム製品を作ることができるサービスを提供している。

また、おもちゃの分野においても3Dプリンターが使用されており、Makie.meのサービスでは顧客がウェブサイト上で独自の人形をデザインして3D印刷することができる。そのほか3Dプリントでメガネフレームを作成するサービスや、ギターなど、様々なアイテムが3Dプリントで製造され始めており、ナイキが2013年度のはじめに3Dプリンターで製造された靴の販売を行った。

個人製造の促進

3Dプリンターは今では安いもので10万円程度の金額で購入することができる。この3Dプリンターの低価格化はより多くの人たちに普及することを示し、個人が自宅で3Dプリンターを使用してものを作りことが多くなる。こうした事実に先進的な企業は既に気づいており、また独自の取り組みも行っている。ノキアはLumina 820 smartphone用の3Dプリント用開発キットを公開した。これは個人が自分でスマートフォンのデザインして3Dプリントすることができるサービスだ。3Dデータを作成するための無料ソフトやスマートフォンやタブレット端末用の無料アプリなどが続々と普及しているため、個人での3Dプリンターでの使用はますます増えてくる。

また、小売店や店舗などにおいて、3Dプリントサービスや3Dスキャニングサービスを展開するビジネスも多くなる。

Christopher Barnatt准教授の予測

第一に、3Dプリントは上記のような製造やものづくりにおける新たな方法を提供するが、伝統的な大量生産における製造方法にとって代わるものではない。10年以内に最終製品または部品の20%が3Dプリンターで製造されると見積もっている。

第二に、材料コストを削減するために多くの業界で3Dプリンターが使用される。

第三に、ここ10年以内にスペアパーツの利用と製品修理の分野で、3Dスキャニングと3Dプリンターの利用が大きな影響をもってくる。最近のエコノミストの報告によると、F-18戦闘機の部品には約90パーツの部品が3Dプリンターで製造されているが、20年の寿命をもつ戦闘機を維持しつづけるためには、3Dプリンターで部品を付け替えることが、最もコスト効率の高い方法だとのことだ。

第四に、3Dプリンターはカスタマイズされた製品のために存在する。そのため多くの企業が3Dプリンターを生産ツールとしては3Dプリンターを使用していない。いくつかのパイオニア的な企業、ナイキなどは非常に戦略的に3Dプリント部品を追加することで、自社製品をカスタマイズしたり、他の方法で変換し始めている。

第五に、ソフトウェア開発が完全にまたは部分的に3Dプリント製品の多くの開拓者のための競争優位性を決定すると信じています。やがて誰もが同じ工業3Dプリンタにアクセスできるようになるたろうとしている。

原文記事:3dprinter.net

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