小規模3Dプリントサービスのビジネスモデル、人材育成の教育プログラムが成功の鍵

増加する小規模3Dプリントサービス

3Dプリンターの普及とともに、新たに3Dプリントサービスが続々と登場している。最近ではUPSやキンコーズなどの国際物流サービスを提供する企業がサプライチェーンの影響を考え3Dプリント事業に参入するなど、今後も拡大する市場であることは間違いない。最近ではこうした大手企業以外にも小規模でビジネスを始める例も少なくないようだ。

3Dプリントサービスを提供する企業や個人が登録するサイト3DHUBSでは、昨年度は1000社近い企業や個人が登録していたが、現在では3900社に上り、4000社に迫るいきおいを示している。3Dプリントの普及とともに、拡大する3Dプリントサービスだが、実際にどの程度ビジネスに結びついているのだろうか。本日は小規模サービスを提供する3Dプリントストアの事例をご紹介。

求められる高い専門知識

3Dプリントストアはアメリカコロラド州で店舗を構える3Dプリントサービスを提供する企業だが、なんと用意されている3Dプリンターはたった3台の状況。デスクトップ3Dプリンターとして代表的なMakerBotのReplicatorが2機に、ストラタシスの3DプリンターuPrint1台だ。

2012年設立のこの3Dプリントサービスはたった3台の3Dプリンターでビジネスを行っている状況だが、スタッフは専門家陣がそろっている。

創業者の一人でブラ・ウィルコックス氏はもともと航空宇宙産業の企業に所属していた経験もあり、同時に法学博士と教育学士を持つ専門家だ。スタッフにも3DCADプログラムや工学系に詳しい製造メーカー出身のスタッフやマーケティング専門のスタッフ、教育学修士のスタッフなど小規模ながら粒がそろっている。

この3Dプリントストアはこうしたスタッフの専門分野を生かし、大学などの教育機関に対して3Dプリント技術の専門サービスを提供しているようだ。主にコロラド州にある工学系の専門大学コロラド鉱山大学と提携することで学部の学生に対して3Dプリント製造のトレーニングや技術を教えている。

スタッフの3DCADに関する機械工学系の専門知識と教育分野での経験が生かされている取組だと言える。将来的には全国の工業系大学が共通して利用できる教育プログラムにしようとしており、カリキュラム開発を大学側と一緒に行っている状況だ。

3Dプリントストア

まとめ 即戦力となる人材育成の教育プログラムが鍵

コロラド州の3Dプリントストアは、もちろんCADデータの持ち込みによる3Dプリントサービスも行っている。しかし、事業の柱となる部分は上記でご紹介した教育プログラムだろう。3Dプリント技術の需要は今後もますます高まりを見せていくと同時に人材の確保が早急の課題となる。

大手製造業でも3Dプリンターを配備すると同時に、オペレーターの育成にも力を注がなければならないためだ。日本もそうだが各国が中学、高校レベルの教育機関に対しても3Dプリンターを配備し、人材育成に努めているが、こうした若い学生たちが製造現場に即戦力として使えるにはまだ10年はかかるだろう。

そうした状況の中においても3Dプリンターの需要は高まる一方であるため、急いで即戦力になる人材育成が必要になる。何せ、教育機関に導入を行いつつも、教える側の教師への教育も同時に行っているぐらいだ。

今後乱立し、増加しつづける3Dプリントサービスにおいては、以下に専門知識を生かして、体型だった教育プログラムを提供できるかが差別化につながるだろう。単純に機器だけ揃え、プリントサービスだけ提供するのみでは、資本力もあり、高性能な3Dプリンターをそろえることができる大手企業にかんたんに飲み込まれてしまう。

また、高い専門知識と技術力、そして長年の実績をもつベルギーのマテリアライズのような3Dプリントサービスも存在する中、どのように付加価値をつけることができるかがビジネスとして成功するカギになるのではないだろうか。

今は乱立し増加し続ける小規模3Dプリントサービスも先を見通し付加価値をつけない限りいずれバブルがはじけるように淘汰されてしまうだろう。そういう点から言うと3Dプリントストアのような、大学機関と連携して教育プログラムとしてパッケージ化して販売する方法は大いに参考になると考えられる。

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