3Dプリンターで世界最先端を目指すシンガポール3000万ドルの研究開発センターを開設!

By | 2013年10月26日
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3Dプリンターで最先端を目指すシンガポール

世界中で3Dプリンターに関する注目が集まっている。2013年度は3Dプリンターの出荷台数が大幅に向上した年だが、2014年にはさらに流通量が拡大するといわれている。2018年以降までも毎年すさまじい成長率で3Dプリンター市場は伸びると予測されており、普及が進むことによる社会基盤の変化が起きると言われている。

こうした中、企業だけではなくアメリカを中心に国を挙げた3Dプリンターの取組が始まっている。もともと3Dプリンターはイギリスやアメリカが発祥の地で彼らは一歩先んじて取り組んでいるが、アジア諸国も急速に取り組みを始めている。

中でも最も特徴的なのがシンガポールの取組だ。シンガポールは人口わずか540万人しかいないほぼ都市国家といえる規模の国だが、世界の物流拠点としてまた、最近ではIT立国として知られている。お台場の日本化学未来館に行くと、世界中のコンテナ船の流れを世界地図で見ることができるが、この流れを見るとシンガポールに物流が集約していることが見られる。

その世界の物流拠点であるシンガポールが3Dプリンターの最先端国を目指すために国を挙げて施策に取り組んでいる。その具体的な政策の一つが南洋工科大学(NTU)への3Dプリンター施設の建設だ。これはシンガポールの経済企画庁が中心となって行っており3,000万ドルをかけて大学内に添加物製造センターを建設中とのことだ。

このセンターは2014年5月にオープンする予定で、3Dプリントに関する最先端の研究と利用法を行う広範なR&Dプロジェクトである。主に行われるのは、金属部品や産業用のオブジェクトを構築するためのレーザー支援機などの機械研究、バイオプリンターによるヒト組織再生研究などで、産業に利用できる新素材の研究やソフトウェア、開発プロセスなども研究する。

具体的な研究例の一部として研究機関があげているのが、

  • 防衛アプリケーション用アルミニウムおよび銅合金と高純度シリカのレーザー溶融
  • ハイブリッド製造
  • 完全に自動化された3Dチョコレートのプリンター、また、タンパク質の人工的な印刷
  • 細胞のダイレクトプリント

まさに、国を挙げての政策に取り組んでいるが、研究開発センターへの投資だけではなく、その他の3Dプリンターへの政策として5年間で5億ドルを確保しているようだ。

南洋工科大学(NTU)への3Dプリンター施設

シンガポール-3dプリンターシンガポール-3dプリンター2

世界のサプライチェーン構造を変える3Dプリンター

ではなぜシンガポールはこれほどまでに3Dプリンターに注目し、国を挙げて大々的に政策に取り組んでいるのだろうか。それはシンガポールが3Dプリンターのもつ影響力を正確に把握しているからに他ならない。

3Dプリンターの影響力は単純にデータがあれば製品ができるという特徴なのではなく、モノに関する社会基盤を変化させることにある。

モノが作られてから人の手に渡りそして使用されて廃棄されるといった一連の流れの中には、原材料の調達にはじまり、製品設計、製造、流通、販売、廃棄といったあらゆるフェーズがある。

3Dプリンターは全てのフェーズを大なり小なり変えてしまう影響力があり、既にアメリカやヨーロッパのモノづくりに関わる企業は、3Dプリント技術を使用することで一連の流れに良い変化をもたらしている。原材料や製造コストの大幅削減と製造に関するエネルギーの削減だ。

上記のような3Dプリンターがもたらす社会構造の変革は、物流拠点として海運産業と航空産業が主要な経済基盤であり、なおかつアジア一の重工業として知られているシンガポールには絶大な影響をもたらすと考えられる。

既にアメリカの代表的な重工業であるGEやロッキード・マーチン社、世界第二位の航空宇宙産業であるエアバスなどでは3Dプリンターを製造プロセスに取り入れることで大幅なコストカットと時間短縮、CO2削減に取り組んでいる。

こうした取り組みは今後製造業に普及していくと考えられるがシンガポールは国家主導で行おうとしている。

重工業の3Dプリンターの取組はこちら

まとめ

シンガポール政府は国家予算を投じるだけではなく、3Dプリンターに関する法整備も開始している。こうした包括的な取り組みは物流とサプライチェーンの世界拠点というシンガポールの特性と最もかかわりがある。

というのも3Dプリンターはモノに関する全ての流れを変化させてしまう影響力を持っており流通とサプライチェーンの部分に関しても従来とは異なる構造を作り出すことが予測される。

例えば実際3Dプリンターはスペアパーツ等の製造に使用され始めているが、大量生産を必要としない部品や、交換時のみにしか必要とされないパーツ類は今後、在庫を持つ必要性はなくなると考えられる。その部品のデータさえあれば世界中どこにいようとも、交換用部品のデータを送ってもらいその場で必要な数だけ出力するこができる。

このような変化は当然、物流拠点として国を立脚させているシンガポールにとっては大きな影響を与えることとなる。シンガポールの3Dプリント技術にたいする本腰の入れようは、従来通りの物流拠点から、オンデマンドに対応した製造拠点としての地位をも確立するような目標があると考えられる。

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