次世代3Dプリンター開発に乗り出すシンガポール、3000万ドルの研究センターがオープン

By | 2014年5月27日
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一大3Dプリントサービスがオープン

昨年2013年の10月にシンガポールの経済開発庁が、科学技術の中心でもある南洋工科大学、通称NTUに一大3Dプリントセンターを開発することを発表したが、とうとう今年の5月にオープンした模様だ。

3000万ドル、およそ30億円近い巨額を投じて設立されたこの施設はパーツ製造や組み立て工業が産業の中心である、シンガポールの製造業を変える一大拠点になると注目されている。

本日はシンガポールが国を挙げて取り組む3Dプリント技術と、NTUの3Dプリントセンターについてご紹介。

シンガポールの3Dプリンター政策の記事はこちらをご参照ください。

20年先を行くシンガポールの3Dプリント技術

今回のNTUに設立された一大3Dプリントセンターの目的は、様々な分野が組まれているようだ。第一に大きいのが、3000万ドルのうち500万ドルかけて作られた「SLM Solutions@NAMC」と呼ばれるラボだ。

このラボは、ドイツの100年以上続く3Dプリント、真空鋳造、金属鋳造の専門企業SLM Solutionsとの提携で生まれたもの。その目的は、次世代型の3Dプリンターの開発だ。

主に二つの分野を主力に研究開発されており、第一が、巨大なパーツ類を高速製造する3Dプリンターで、第二が一つのパーツに複数の異なる材料を組み込むことが可能な3Dプリンターだ。

この開発には最新のレーザー技術を使うことで、様々な金属パーツ類の製造を可能にし、今後医療分野で期待がされるバイオプリント技術の研究まで含むという。

まだその研究開発の全貌は明かされていないが、NTUのアンダーソン教授によると、「この分野で他国よりも20年先を行く」との勢い。このNTUの研究開発には、シンガポールの経済開発庁の全面的バックサポートがあり、自国産業を一大3Dプリントセンターに変貌させようという戦略がうかがえる。

シンガポールは将来的に起こりうる3Dプリント技術によるサプライチェーンの変革にいち早く対応する動きを撮っているが、今回の巨額の資金を投じて開設した3Dプリントセンターはその中心になるものだ。

NTUでの発表

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SLMの3Dプリンター

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シンガポールへの3Dプリンターの巨大な影響

シンガポールは言うまでもなく世界の物流拠点として、また組み立て工業の一大拠点として機能している。こうした産業の特性から、サプライチェーンに対して巨大な影響を与える3Dプリント技術に当然鈍感ではない。

例えば極端な例だが、シンガポールに集積する様々なパーツ類が3Dプリンターでの製造に置き換えられれば、物流拠点としての役割に大きな影響を与えることは明白だ。

そうした将来起こりうる物流の一大変革に合わせて、今のうちから自国の産業を3Dプリント技術に対応させようという考えが見て取れる。こうした動きを見据え、NTU以外でもシンガポールは3Dプリンターを開発している。

その3Dプリンターはヴァーチャルリアリティ技術と融合された超高速生産を可能にする3Dプリンターとのことで、将来は本格的な3Dプリンターの生産に乗り出すことを見越しているに違いない。

 まとめ -3Dプリンターは戦略性を備えた経済兵器-

今、世界中の国が、3Dプリント技術を次なる製造業を担う技術として注目を集めている。

特に顕著なのが、アメリカやイギリス、シンガポールなどの戦略的な思考法を備えた国々だ。彼らの3Dプリント技術に対するとらえ方は明白で、自国産業の競争力を高めるツールとしてとらえている。

デジタル技術に基盤を置く製造方法と、世界中どこでも通信可能なクラウド技術を融合させることで、生産性と効率性を一気に高め、企業競争力を強化し、他国との競争に打ち勝つ腹積もりだ。

そのための道具として3Dプリンターをとらえ、国もあの手この手でバックサポートを行っている。

そこに見えるのは政府も企業も教育機関も一体となった、戦略性である。こうした国々は自国の産業構造を正確に認識し、将来起こりうる時代の変化に適合させ、その一歩先を行くことに躍起になっている状況だ。

そのような中、我が国も経済産業省が中心となって一大3Dプリントセンターの開設を行った。しかし、そこには明確な目的や将来を切り開くための戦略性が全く見えてこない。

このような状況で今後グローバル化を進める他国との競争に打ち勝つことができるのだろうか。過去、長期にわたるデフレを経験し、失われた20年と言われる経済的停滞を超えた今、世界の国々は従来とは全く異なる次代を見据えたマインドを身に着けてしまっている。

我々日本もあらゆる立場の人たちが一致協力して事に当たるべきだ。

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