ミラノデザインウィーク2015で展示された3Dプリントシューズ

3Dプリンターとデザインの可能性

3Dプリンターの一つの価値として、これまでつくることができなかった形状を作ることができる点にある。言い方を変えれば、従来の素材と、そしてそれに対応した加工技術とは全くことなるアプローチでものを作ることができる。

生産コストやリードタイムを圧倒的に短縮するという効果もあるが、より大きな可能性として挙げられるのが、この新たな形状の実現である。形状は外見上の形状もあるし、機能性を表現した形状もある。言うなればデザインのバリエーションが拡大することができるわけだ。

まだまだ対応できる素材と、その表現方法も限定的だが、すでにデザインの新たな可能性を提案し始めている。そんな3Dプリンターの可能性を表した取組を行っているのが、新たな靴のブランド、ユナイテッドヌードと、3Dsystemsだ。今回開催されたミラノデザインウィーク2015で、その可能性を示す3Dプリントシューズの展示を行っている。

履き心地や、実用性という観点ではなく、3Dプリンターのプロダクトデザインにおける新たな可能性を示す取り組みをご紹介。

展示された3Dプリントシューズ

5種類の、ナイロンとポリウレタンの3Dプリントシューズ

今回ミラノデザインウィーク2015で展示された3Dプリントシューズは全部で5足。建築家やデザイナーがデザインし、3Dsystemsの3Dプリンターで再現されたもの。これまでの製法では絶対に作ることができない、独特の幾何学的な模様が表現されている。ちなみに使用された素材と製法はナイロンパウダーのレーザー焼結法と、柔軟な熱可塑性ポリウレタンが使用されている。下記の5点は、それぞれ「アンモナイト」、「炎」、「Unx2」、「”Ilabo」、「Young Shoe」。

アンモナイト
Unx2
“Ilabo
Young Shoe

これまでのシューズは靴の種類にもよるが、一般的には革やソール部分に使用されるウレタン系の樹脂がほとんど。ファッションアイテムとして捉えた場合、ユナイテッドヌードのように新たな靴のカタチも普及するのかもしれない。ここで言いたいのは、3Dプリンターで作られたシューズがいいとか悪いとかという論議ではなく、これまで作ることが不可能であった形状が表現できるということは、プロダクトがより新しいものになり、進化を遂げていくということが言いたいのである。これはシューズに限った話ではなく、それ以外の製品、パーツにも共通して言えることだろう。

まとめ さまざまな製品を進化させる可能性

今回ご紹介したユナイテッドヌードのシューズのような形状は、シューズだけではなく、それ以外の製品でもこれまでの製法では再現することはできない。人の手で加工したとしても、全ての模様を完全に同じように再現するには相当な時間と手間がかかる。しかし3Dプリンターであれば元となる3Dデータがあれば何度でも同じ形状のものをつくることができる。

現状の3Dプリンターはすでに述べたとおり、使用できる素材や製法は限定的であるが、その幅を拡大し、製法ももっと綺麗に滑らかな仕上がりができるように改良が重ねられている状況だ。つまり、あとは技術の進歩を待つだけで、どんどん既存の製法を塗り替える、取組が登場するだろう。そうした点からするとユナイテッドヌードと3Dsystemsの取組は、新たな製品開発やデザインの可能性を感じさせる取り組みだ。

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