今後5年で1900%の成長率
3Dプリンターに関して各社様々な調査分析レポートを発表している。
最近ではマッキンゼーが3Dプリント技術の影響に関するレポートを発表するなど、更なる成長が見込まれているが、IT系の市場調査会社として知られるガートナーが新たな予測を発表した。
去年にもガートナーは3Dプリンターの出荷に関する市場調査レポートを発表しているが、今回発表されたレポートによると、今後5年間で1900%も市場が拡大し、2030年には全家庭の50%以上に3Dプリンターが置かれると予測している。
昨年発表されたガートナーのレポートでは2015年までの出荷台数に関するレポートであったが、今年になって発表されたレポートでは2020年、ひいては2030年度までの長期にわたる市場レポートになっている。
以前の2015年までのレポートにおいては、2013年度の2倍に近い9万8065台に達する見通しで、市場規模としても6.69億ドルに達すると予測していた。
主に前回のレポートの焦点は製造業における3Dプリンターの浸透がメインであったが、今回のレポートでは今後15年間の消費者市場に焦点をあてたものだ。
レポートによると今後16年間で消費者市場における3Dプリンターの浸透は驚異的なもので、2020年以降、爆発的に成長すると予測している。
昨年2013年度ガートナーの記事はこちら
2020年欧米の50%の世帯に普及
特に消費者向けの3Dプリンターが爆発的に増えるのは2010年代の後半から2020年にかけてであり、アメリカとヨーロッパの世帯のうち、50%の世帯が何らかの3Dプリンターを1台持つと予測している。
またそれに付随して3Dプリンターに使用する材料市場も拡大し、2024年までに年間で100億ドル(約1兆円)の市場規模に成長する。
こうした予測はあくまでも氷山の一角にすぎず、2030年には700億ドル(約7兆円)の規模まで到達する可能性があるようだ。
しかし、こうした消費者市場に対して3Dプリンターが普及するためには、大きく分けて3つの問題があるのと考えられる。
第一は価格の問題だ。デスクトップタイプのようにどんなに安価な3Dプリンターとはいえ1台30万程度の価格はする。
二次元プリンターやパソコンと同じように使用できるためには1台10万円以下の価格で提供される必要があるのではないだろうか。
第二は性能の問題だ。高価はハイエンドタイプはフルカラーのプラスチック部品や、精密な金属パーツなどをプリントできるが、デスクトップタイプの3Dプリンターはまだまだ性能は悪い。
造形精度もよくはないが、物体の形状やデータによっては正確にプリントすることができずミスプリントが多発する。
また、造形スピードも非常に遅く、大体1cm積み上げるのに1時間かかるほどだ。
消費者向けに提供されるためには早く、正確に、ミスなくプリントされる必要がある。第三の問題は知的財産や著作権の問題をどう保護していくかという問題がる。
極端な言い方をすればデータや3Dスキャンを行なえば何でも複製、製造することが可能だ。その辺の法整備も行う必要があるだろう。
デスクトップタイプで代表的なMakerBotの3Dプリンター
まとめ
現段階の3Dプリント技術を見てみると、まだまだ解決すべき課題があるが、ガートナーが予測しているように、消費者市場において爆発的に拡大する可能性を秘めているだろう。
現在はまだ安価でコンシュマー向けと言われているデスクトップタイプの3Dプリンターは性能が低く、ミスプリントも多いが、今から10年後、15年後には相当のレベルまで性能はアップしているのではないだろうか。
昨年以降、3Dプリント技術の開発と技術の向上は目にみはるものがあり、造形スピードを倍にするプロセッサーの開発や、フルカラープラスチックのプリントなど、品質の向上が各研究機関、メーカーで行われている。
これにより、一部の製造業、デザイナー、愛好家の試作用途に過ぎない3Dプリンターが一気に普及する可能性を秘めている。
ここ近年のデジタル化の進むスピードと技術の発展スピードは従来の比ではない感じがあり、今までの世界では想像もつかないことが現実化される可能性もあるのではないだろうか。
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