有名デザイナーのキッチン用品が3Dプリント可能、MakerBotと3DHUBsのコラボレーション

3Dプリンターメーカーとクラウドサービスのコラボレーション

2014年に入り、様々な商品が本格的に3Dプリンターで作られ始めている。単なる試作品製造としての役割ではなく、ダイレクトに最終品を作ろうという動きだ。その分野は幅広く工業用品などのパーツ製造から、今回ご紹介するキッチン用品や家庭用雑貨など消費者が使用するコモディティ商品の製造にも利用が開始されている。

3Dプリンターをつかった製造の一番の特長はカスタマイズ性と、データによって世界中どこでも送信可能な点だ。こうした特長を生かした、キッチン用品のあらたなサービス提供がなされている。本日は全世界中どこでもキッチン用品を3Dプリントできるデザイナーと3Dプリンターメーカーと、クラウドサービスのコラボレーションをご紹介。

全世界4000社の3Dプリントサービスが利用可能 

今回ご紹介するキッチン用品の3Dプリントコラボ「クラウド・コレクション」は、ファッションとデジタルを融合させた有名デザイナーFrancis Bitontが手掛けるキッチン用品を、世界最大の3Dプリントクラウドサービス3DHUBsと提携することで、全世界でダウンロード製造できるようにするという取り組みだ。

3DHUBsは世界中の個人や小規模な3Dプリントサービスが登録するクラウドサービスで、登録者数は今月で4000社を超える勢いだ。登録されている3DプリンターはMakerBotやRepRapなどその大半がデスクトップタイプの3Dプリンター。

今回のコラボレーションではMakerBotの3Dプリンターが対象になる。主な商品はお皿やボウル、花瓶などのキッチン用品で、全ての商品が自由にカスタマイズ可能だ。

MakerBotはこのコラボレーションに際し、自社で展開する小売店で、「クラウド・コレクション」の商品展示を行った。MakerBotは現在ニューヨーク、ボストン、クリニッジの3か所に小売店を展開しており、3Dプリンターの販売と、3Dプリントサービスも提供している。

MakerBot小売店の記事はこちらをどうぞ

有名デザイナーFrancis Bitontが手掛けるキッチン用品

3DHUBsには4000社以上が登録

今回の「クラウド・コレクション」は二つの方法で入手可能だ。デジタルデータで購入する場合は1ドルで購入可能だ。データで購入した場合は、3DHUBsに登録している3Dプリントサービスでプリントできる。もちろん自分で所有する3Dプリンターでもプリントして使うこともできる。

もう一つの方法は、実際に物体になった状態で購入することが可能だ。この場合の価格は75ドルから100ドルで販売されている。3DHUBsと提供することで得られる最大のメリットは、どの地域に住んでいても、身近な3Dプリントサービスを利用し、商品を手に入れることが可能な点だ。

現在3DHUBsがカバーする地域は、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアとほぼ全世界にネットワークを持ち、もちろん日本でも登録している企業や個人が存在する。今後も小規模、大規模にかかわらず、3Dプリントサービスを提供する企業は増えてくるだろう。

まさに3Dプリント技術とクラウド技術の融合が、サプライチェーンに変革を起こす時代にきている状況だ。

まとめ –用途に応じた3Dプリンターの使い方が必要-

今回ご紹介した「クラウド・コレクション」のような取組は、キッチン用品以外の様々な商品で行われるようになるだろう。既におもちゃの分野においては同様に3Dプリント技術とクラウド技術を融合させたカスタマイズ販売が行われようとしている。今回の「クラウド・コレクション」でいい部分は、販売方法を2種類に分けている点だろう。

データから購入できる価格が1ドルで、製造した商品自体を購入する場合は70ドルから100ドル近い価格と、かなりの開きがある。これは、現状のデスクトップタイプの3Dプリンターのクオリティが低く、それにより製造された商品は1ドル程度の価値しかないことを示している。

各社3Dプリンターのクオリティの向上は年々行っているが、まだまだ実際に使用するレベルではない。金型によって製造された商品のクオリティには到底及ばないクオリティだ。そのため、商品として販売する際には、おそらく念入りに後処理され、丁寧に仕上げたクオリティの商品が納品されるのだと思われる。

3DHUBsに登録する企業が増えているように、ローカル3Dプリントサービスは今後も増え続けていくと思われるが、その大半がデスクトップタイプの低価格な3Dプリンターで、クオリティは極めて低いということを認識して使用するべきだろう。本来の試作品を作るという目的なら十分機能するだろうが。

3Dプリント技術はまだまだ発展途上の段階にあるため、今日の技術が明日には過去のものになるのがはやい。用途に応じて慎重に選択する必要がある。

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