5歳から3Dプリント教育を行うイギリス。政府が60校に50万ポンドを投資

By | 2013年11月6日
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3Dプリンター導入に50万ポンドの資金を学校に投ずるイギリス政府

3Dプリンターの導入は製造業だけではなく教育の現場においても盛んにおこなわれている。日本においても教育分野での普及が顕著である。3Dプリンターメーカーのストラタシス社が発表したところによると日本市場のうち教育分野での比率がかなりのものになると予測している。

主な導入先としては大学や研究機関になるが、他国では教育分野への導入に対して国が補助金を投じて導入を急いでいるようだ。

教育分野への3Dプリンター導入を行っている代表的な国がイギリスだ。イギリスは60校に対して50万ポンドの資金を投じて3Dプリンターの導入を図ろうとしている。イギリスは2012年度以降3Dプリンターの教育現場への普及に注力をしており、イギリスの教育省は、科学の新しい革新的な方法を模索し、技術、工学、数学(STEM)デザインの分野で3Dプリンターの使用を広げている。

既に2012年には21の中学校の数学とデザイン、技術の授業で3Dプリンターを使用できるようにしている。この成功に基づき、2014年度から新たに50万ポンドの資金を投じる計画を立てているのだ。学校への3Dプリンターの導入はコンピューターサイエンスの分野と合わせて、教育科目の一つとして導入し、子供のうちから3DCADによるモノづくりの理論と実践を学ばせようとしている。

イギリスではこの3Dプリンターを導入した新教育体制を2014年から開始させようと動いている。

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3Dプリンターを使ったモノづくり授業を教育システムに本格導入

新たな教育科目として5歳から、3Dプリンター、レーザーカッター、ロボットなど最先端の機器を使って実際にモノづくりを勉強するものだ。主に5歳から14歳の学年に最先端の技術レッスンを提供するもので、

  • 5歳から7歳の学年ではモノの構造と3Dプリンターなどの機器の使い方が教えられる。
  • 7歳から11歳の生徒にはスイッチや電球、ブザーやモーターなど実際に電気を使って動くモノづくりを体験してもらい、同時にコンピューターから制御する方法も学ぶという本格的な授業だ。
  • 11歳から14歳の中学生に該当する生徒たちはスケッチ方法、モノづくりの詳細な計画立案、3Dモデリング作業、アイデアからデザイン化する方法、といった製品開発に関する一連の流れを学び、同時にプレゼンテーション方法も学ぶ予定となっている。

まとめ

イギリス政府は本格的に3Dプリント教育を普及させていこうという動きに出ている。既に21の中学校で実証導入され、新たに60の学校に3Dプリンターが導入される予定だ。またカリキュラムも7歳から14歳の間にかけて製品開発、モノづくりに関して専門的に学べるもので国をあげて取り組もうとしているのがうかがえる。

興味深いのはこのカリキュラムの導入方法で、従来の3Dプリンターに関する授業は主にデザインと技術のクラスに制限されていたのが、数学と工学の分野にも広がっており相対的な教育レベルの底上げを狙うものになっている点だ。

イギリスは製造業分野へ1000万ポンドの資金を投入し3Dプリント技術の導入と研究に重点をおいているが、教育分野に投資することで、同時に将来の製造業を担う人材の能力を上げることも忘れていない。

例えば2014年度から本格的な3Dプリントとコンピューターサイエンスのデジタル技術を使った教育が始まれば、10年後の2024年には本格的なデジタルモノづくりの教育を受けた人材が製造現場に投入されることになるだろう。

こうした教育機関への直接投資という取り組みはイギリスだけではなくもっと小規模ながらフィンランドでも行われている。フィンランドは北欧の代表的なIT先進国だが、3Dプリンターの学校への導入に3万ユーロの予算をつけている。国家規模が違うため金額は少ないが、それでも政府が予算を投下し4都市の学校に3Dプリンターを設置使用という動きがある。

イギリスのように本格的な教育体制の変革が行われた国と、そうではない国の総体的な国力の差はどのようになるのだろうか?10年後、20年後に今よりもっと科学技術が進歩し、デジタル技術がよりリアルなものと融合した時代の国の競争力はどう変わっているのだろう。

イギリスやアメリカなど欧米諸国の教育のもう一つの特徴は一つの分野にとどまらない点にある。3Dプリンターの教育科目の導入がいい例だが、技術、工学、数学(STEM)デザインといった多様な分野に及んでおり一つの枠に当てはめるということをしない。

こうした教育体制で育て上げられた人材は容易に一つの分野からその他の分野に対して水平思考を行うことができる。そのため欧米では物理で学位を持つ人間がMBAを持つという専門性の多様さがある。

新たな技術を国に根付かせるためには教育への投資は絶対条件だが、同時にただ単に予算だけつけ、3Dプリンターを学ぶ科目を作るのではなく導入方法や教育システムも考えるべきだ。そうした他分野との水平思考を重視したイギリスの3Dプリンターの導入事例はいろいろな視点を学ばせてくれる。

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