3Dプリント技術の研究開発に740万ドル!アメリカ国立標準技術研究所が資金提供

更なる3Dプリント技術向上に努めるアメリカ

現在3Dプリント技術は次世代の製造業を担う技術として各国が研究開発に注力を注いでいる。3Dプリント技術で一歩先を行く国がアメリカだ。アメリカは2大3Dプリントメーカーがいるだけではなく、長年にわたり3Dプリント技術の研究に投資してきた実績がある。

産業に占める3Dプリンターの普及率は世界で最も高く38%に上り、2大3Dプリンターメーカーが占める3Dプリンターの販売シェアは世界の70%を占めている。

まさに官民一体となってこの新技術の研究開発と導入にまい進しているが、このほど新たに研究資金として740万ドル(約7億4千万円)の資金を投下することが決まっている。

この資金提供の中心となるのはアメリカ国立標準技術研究所で、アメリカ商務省所管の技術開発機関だ。その目的とするところは「アメリカの技術革新や産業競争力を強化するために、経済保障を強化して生活の質を高めるように計測学、規格、産業技術を促進すること」としている。

その規模だが、3000名の科学者、工学者、技術者を抱え、国内・海外企業から2700名の科学者、工学者を受け入れている。またアメリカ国内に400カ所の提携機関を持っている。

今回の資金提供は添加剤製造、すなわち3Dプリント製造技術の測定と水準向上を目的としており、二つの助成金プロジェクトに分かれている。

3Dプリント技術の研究開発に740万ドルの資金提供

3Dプリント技術は2013年になって急速に注目を集めメディアでも取りざたされあらゆる分野での導入が促進されているが、まだまだ課題が残っているとされている。

アメリカ国立標準技術研究所が考えているところによると3Dプリント技術はその製造プロセスにおいて材料の特性に関するデータがまだまだ不足しており、製造できるものは限られているとしている。

また、機器自体の性能を評価するための標準テストが不足している点や、3DCADデータとデザインを最大限生かすための研究が必要だとしている。確かに、現状の3Dプリンターによる製造速度は非常に遅く、モノや製法、精度にもよるが1cm積層するのに大体1時間程度の時間がかかる。

また素材も現状利用できるものはプラスチックを中心にしたものが多い。こうした生成にかかる時間や利用できる素材の研究が進めばより添加剤製造技術は幅広いものになる。この740万ドルの資金提供は具体的には二つのプロジェクトに分けられている。

NAMIIが主導する3Dプリント技術の向上

アメリカの3Dプリント技術の中心機関であるのが国立アディティブマニュファクチャリング·イノベーション研究所通称NAMIIだ。NAMIIは3Dプリント技術の使用を拡大するために設立された国立の研究所で、7000万ドルかけて設立された官民一体となった専門機関である。

アメリカの主要なビッグメーカーと2大3Dプリンターメーカーで構成されている。

今回アメリカ国立標準技術研究所が提供する資金のうち500万ドルはこのNAMIIが中心となるプロジェクトに提供されるとのこと。

主な研究開発分野は3Dプリンターが製造の様々なシーンで使用されていることから、試作品から最終品までに対応する3Dプリンターツールの開発を行う。例を挙げると最近注目されてきた金属用3Dプリント技術の分野で金属粉末の構造と特性を最適化することや、複雑な高付加価値部品、添加剤製造のための技術向上を目的としている。

北イリノイ大学の3Dプリント技術の品質保証研究

第二の資金提供は北イリノイ大学を中心にノースウェスタン大学などが参加したメンバーが行っている3Dプリント技術の品質保証分野に関する研究である。このプロジェクトでは3Dプリント技術で作られた製品や部品などの微細構造と機械的性質を制御してサポートするツールの開発が行われ240万ドルの資金が提供される。

まとめ

アメリカは3Dプリント技術の最先端を行っているが、更なる研究開発に官民一体となって取り組んでいる。3Dプリント技術の研究開発の中心となっているNAMII(国立アディティブマニュファクチャリング•イノベーション研究所)はロックフェラー財団が肝いりになり、アメリカの主要産業の企業たちで構成されている。

ボーイング、GE、NASA、さらに2社で世界シェア70%を占める二大3Dプリンターメーカー、ストラタシス社と3Dシステムズ社が参加している。同時に提携するアメリカ全土の研究機関や大学等とも連携を行っている。

その取組はまさに国を挙げて一眼となって取り組んでいるように見える。政府、企業、教育機関といった国家を主導する3つの主要パートがそれぞれ個別に取り組むのではなく、明確な目的意識の元上手く協働している。

政府は国際競争力を維持するための技術開発に資金を投じ、企業はR&Dと関連事業の買収による世界規模での拡大、教育機関は研究と未来の人材育成に力を注ぐ。こうした取り組みは世界各国が産業を牽引するときに見せる当たり前のやり方だ。

そこには政府が注力産業に資金提供するという行為に対して一切の余計な雑音が無い。国の原動力となる企業の力を高め、グローバルな世界において国際競争力を保つためには必要な分野に必用なお金を投じているにすぎない。

こうした諸国のとりくみを見ると、単なるおざなりなその場しのぎの助成金や補助金といったものではなく、十年先、二十年先を見据えた国家の政策がある。

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