モルタル不要の3Dプリントレンガは建築物の外壁をオンデマンドでデザイン可能

紀元前から外壁としての役割を担うレンガ

レンガはヨーロッパの建築物に使用されていることが多く、日本ではあまり馴染みがない存在だ。その建築材としての役割は極めて古く遠く紀元前4000年のメソポタミア文明に遡る。使用された国も非常に幅広く、古代エジプトに始まりローマ、中国にまで及んでいる。

世界でこれだけ古くから使用されてきたのに日本での普及は以外に遅く、幕末に江戸幕府のお雇い外国人によってもたらされた。

初めてレンガが建築物に使用されたのは大砲を製造するための反射炉で、その後明治時代には多くの建造物に使用された。有名な建造物では、つい最近世界遺産に登録された富岡製糸場や、大正時代を象徴する建造物としてリニューアルされた東京駅、また横浜の赤レンガ倉庫などが有名だ。

現代の建築材料は鉄筋コンクリートが主流になっているが、現代においてもレンガは、明治・大正期の歴史的雰囲気を感じさせる建造物として人気で、外壁として使用される役割を担っている。そんな建築材としてのレンガだが、今3Dプリント技術と組み合わされることで、新たな建築材としての可能性が期待されている。

モルタル不要のセラミック配合3Dプリントレンガ

このセラミック配合の3Dプリントレンガを開発したのはアメリカのコーネル大学の研究チームだ。

このチームは建築デザイナーや建築材の研究者で構成されるチームで、3Dプリント技術とレンガを組み合わせることで、これまで実現できなかった画期的な建築材を作ることに成功している。この3Dプリントできるレンガはセラミック配合のPolyBrickと呼ばれるもので、最大の特長は建造する際にモルタルを必要としない点にある。

モルタルを必要としないPolyBrick

レンガで建造物を作る際に必要となるのが、レンガとレンガを接着させるモルタルだ。ペースト状であることから、施工性が高く、仕上げ材や外壁の調整に使用されてきた。しかし、モルタルを使用するのは工程が複雑で、施工日数が20日前後かかるというコスト面でのデメリットも多く存在する。また、使用するには熟練の職人による作業が必要であることから現在ではあまり使用されなくなってきている材料だ。

レンガとレンガを接着させるモルタル

しかし、この新たに開発された3Dプリントレンガを使用すれば、接着にモルタルは不要だし、思い思いの外壁デザインをオンデマンドでつくることができる。

また、軽量で耐久性に優れ、レンガのプリント製造にあたっては従来のレンガよりも低コストですむ。この技術を開発したチームの中心的役割を果たしているのがコーネル大学建築学科のデザインとテクノロジーの助教授セービン氏で、自らも建築デザイン事務所を構え、21世紀の建築実務において主導的役割を担っているという。

さまざまな外壁デザインをオンデマンドで作れる可能性

まとめ

この3Dプリントレンガは2009年から研究開発が開始されあしかけ5年間かかっている。3Dプリント技術の発展によって、建築材料の分野にも迅速でカスタマイズされた生産体制が到来することになるだろう。

特に建築分野における外壁の仕上げにおいてこの3Dプリントレンガの素材は大きい。外壁の製造も、プロダクトと同様に、思い思いのデザインにカスタマイズできて、建物ごと、場所ごとに、オンデマンドで製造することができれば更なる付加価値を高めることができる。

この3Dプリントレンガは、現代のテクノロジーと紀元前から存在する伝統的材料をくみあわせることで、建築業界にイノベーションを起こす可能性を秘めている。

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